2008/11/28(金)21:12
現代歌枕 昭和 ~雑誌『NHK短歌』2007年12月号より
梅内美華子「現代歌枕 昭和」から、私の注目した歌にコメント。
人々がもう振り向かぬ昭和あり 歌に体温はまだ残りたり
三枝昂之『天目』 ここの歌は短歌を意味する。たしかに昭和の歌にはまだ昭和の時代の温もりや肌寒さが感じ取れる。多少なりとも読者自身が生きていたということが関係しているのだろう。
死者の声なかんずく若き死者の声 昭和は消我(しょうわ)、苦しき焼我(しょうわ)
三枝昂之『天目』 この「若き死者」は兵士のみならず子供たちも含まれるのだろう。自分の意見は一切許されず、自己を滅して国に尽くすことを教えられ、そして出征しなくても空襲などで焼け死んだ。
昭和二十年夏幼くせつなき餓ゑに耐へし昭和の子また一人死にたり
山埜井喜美枝『じふいち』 弟の死を悼む歌だそうだ。どんな思いであったろうと想像するに、言葉が出なくなる。
ある日より現神(あきつかみ)は人間(ひと)となりたまひ年号長く長く続ける昭和
齋藤 史(ふみ)『渉りゆかむ』 いわゆる人間宣言によって神格化が否定された。これをリアルタイムで見てきた人は戦前と戦後の昭和に深い断絶があるのだろう。
青人草(あをひとぐさ)あまた殺してしづまりし天皇制の終を視なむ
山中智恵子『夢之記』 「しづまりし」がいかにも荒ぶる神のようで興味深い。天皇制というのは天皇個人とは無関係な日本人の魂の荒ぶる神が作ったのではあるまいか。私は、明治以来の長州軍閥の荒魂(あらみたま)、あるいはお隣の出雲国のスサノオなどの荒ぶる神が天皇制に乗りうつったのではないかとも思う。すべてを出し尽くすまで、しづまることはなかったのだろう。もっとも戦後の天皇は和魂(にぎみたま)となって皇居にしづまっておられたと思うのだが。
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