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野性の大田区(東京都大田区自然探訪記)

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2021年10月13日
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カテゴリ:ジシギ
ジシギの識別では、尾羽の枚数と色形が確定の条件とされるが、遠い野鳥の観察条件では確実に枚数を数える事は困難だ。そこで肩羽の形や大きさ、尾羽の中でも確認しやすい中央から3枚に絞り。同定の精度と他種発見の確率を上げる方法を考えてみた。
その前に、確実にタシギとしていい次列風切り羽先端の白色部。羽を広げた状態や飛翔時に脇の白色部が目立つ。これはタシギの大きな特徴。



さて肩羽の話。代表種タシギの場合、肩羽は前方の羽縁淡色部が太く目立つ。その結果、羽先は尖って見える事が多い。



他種を疑っていい個体は、肩羽前方・後方ともに淡色部が見られ、羽先はやや丸く見える。



肩羽の形から、下の写真では左側が他種(色合いからチュウジシギが濃厚。)、右側がタシギと考えられる。



ジシギの他種混合を疑い始めた原因の写真は、2017年冬のこの1枚。前後の個体で大きさと色合いが同種の個体差にしては差が大きすぎる。いろいろ学んだ現在では手前がハリオシギ、奥がオオジシギだと考えている。



尾羽の模様は、種によって異なりハリオシギとオオジシギの中央尾羽は似ているのでオオジシギのイラストは省いた。



国産タシギ(Gallinago gallinago)は、羽軸に沿ってGペンのペン先のような黒褐色模様が先端に向かって目立つ。



チュウジシギの場合、中央尾羽T1のみ羽軸に沿って先端に向け尖るが、それ以外は軸から外れる。



オオジシギは、T1とT2に尖って見える褐色班が見らる(幼鳥なので中央尾羽は伸長中)。



ハリオシギもオオジシギと同様で、中央尾羽T1T2に尖った褐色班が見られる。



同一個体、尾羽外側の針尾と呼ばれる羽の形。その意味が分かりやすいと思う。



同一個体、図鑑では嘴が最も短く基部が太いとされる。尾羽の突出は短いとされているが、この個体は割と長めに突出している。多種と違って目先線が目立たない。



問題なのがこの個体、数え方によって(最外尾羽を1枚と見るか2枚と見るか。)尾羽の枚数が違ってしまう。また目立った褐色の尖った部分が見られない点で国産タシギの可能性は消える。オオジシギの可能性は、オレンジ色の尾羽の枚数が12枚なので多すぎる。
北米産亜種タシギ(Gallinago delicata)の可能性が高いと考えている。アメリカタシギとも呼ばれ、以前から渡来の可能性は語られてきたが観察例は見当たらない。



同一個体。肩羽の前方羽縁は太く目立つ。尾羽の突出は短くハリオシギを疑う印象だが。



アメリカタシギの根拠とした尾羽の模様、外部サイトの写真。

剥製

生態写真

​剥製の写真は最外尾羽の色が見にくいが、中央の尾羽の褐色模様は形が一致する。生態写真は小さく見えるがクリックすると拡大する。この写真とも尾羽の模様が一致した。
ジシギを見ると、全部タシギって言いきってしまう人が多いので。これまで見落とされている可能性が高い。





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最終更新日  2021年10月13日 12時55分32秒
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