上の画像は、現在の日本列島からは殆ど見ることのできない「南十字星」(下方の台上の4つの造形)と「うみへび座」(左上から右下にかけての長い表現)を、ギャラリーの南方の壁面に演出したものである。
実は日本神話の「ヤマタノオロチ」の本質は「うみへび座」であり、その尻尾から出た「御剣」の本質は「南十字星」だとする捉え方があり、この説を信頼する私は、その神話世界を彩る星々を「南方の星空」の代表として表現したということだ。
ちなみに神話において、その「ヤマタノオロチ」の尻尾から出た「御剣」は、後に「草薙の剣」として「三種の神器」に加えられるのだが、その正体が「南十字星」だとすれば、それは今の私にとって実に興味深いことである。
というのも、この個展を開いてから約一週間が経過したが、来場者の方々と語らいながら展示作品の解説をしていくうちに、やはりこの「南十字星」こそが、童謡「カゴメの唄」の最後の歌詞である「後ろの正面誰」の「誰」に相当する天体だと、強く認識するようになったからだ。
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つまり、この地球の北半球に生活する私たち日本人は、北方の極にあって目に見える「北極星」を中心とする世界観に浸っていることになろうが、例えば自分が北方を向いたその「正面」に「北極星」が輝いて見えるとすれば、その背後である「うしろの正面」の南方にも、目には見えないけれども「南十字星」が常に輝いているということになる。
最近のネット検索で、日本古来の修験道の世界では、「ヤマタノオロチ」の浄化した姿が「八大龍王」であり、それはまた「イザナミ命」の化身でもあるとする伝承を知り、なぜか今の私には「イザナミ命」が「南十字星」に観え、そして「八大龍王」が「うみへび座」として「イザナミ命(南十字星)」を護っているように観えている。
以上のことなどから、今回の個展の隠れたテーマとして『イザナミ命のよみがえり』があったと、そのように感じはじめた今日この頃である。