東響モツレクは曲の組み合わせが?
鑑賞日:2021年10月24日(日)14:00開演入場料:4,000円(B席 4階LB 1列)【主催】ミューザ川崎シンフォニーホール、(財)東京交響楽団東京交響楽団 名曲全集 第170回<前期>会場:ミューザ川崎シンフォニーホール曲目デュティユー:交響曲第1番モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626 ジュスマイヤー版、「Lacrimosa」のみフィニッシー版 「Agnus Dei」と「Communio:Lux eterna」の間に リゲティ「Lux eterna」を演奏出演指揮:ジョナサン・ノットソプラノ:カタリーナ・コンラーディ→三宅理恵メゾソプラノ:ウィープケ・レームクール→小泉詠子テノール:マーティン・ミッタールッツナー→櫻田亮バスバリトン:ニール・デイヴィス合唱:新国立劇場合唱団合唱指揮:冨平恭平管弦楽:東京交響楽団コンサートマスター:小林壱成感想 久しぶりに宗教曲の演奏会があるとのことで、衆議院議員選挙の演説の渦の中、ミューザ川崎へ向かった。 ホール入口でカメラ検温、手をアルコール消毒、チケット半券もぎりとプログラムピックアップは自身でとのコロナ対応。 ドリンクサービス中止。座席は1階正面3列空席以外は、全席販売した様で7割程度の入り。但しP席、2RA,LAのステージ側は、観客まばらで、新型コロナ感染収まり追加発売したのでしょう。 ミューザ川崎は渦巻き状の座席のため、当方4階LB席となっているものの、1桁代は3階入り口が近く、たどり着くのが一苦労。 1曲目はデュティユー「交響曲第1番」。全く初聴の曲。デュティユーは20世紀フランス現代音楽界でメシアンとブーレーズの間の世代とのこと。 ピアノ、チェレスタ、ドラ、木琴、鉄琴など多くのパーカッションが入り5プルトの規模。 静かに始まり、途中大音量になり、最後は再び弱音で終わる。不協和音は少なく、聞きにくい曲ではないがモツレクとは時代や曲想に関連無く、なぜ組み合わせたのか意図は不明。 2曲目は古典の対抗配列4プルトで、合唱はオケの後ろに2列、全員分の譜面台、椅子が準備される。オルガンはホールのパイプオルガンを使わず、可搬のものを使用。 合唱は下手側よりソプラノ、バス、テノール、アルトの通常と異なる配列で各パート8人の32人、ソリストは合唱1列目の中央に合唱配列と同じ順で並ぶ。 冒頭のRequiem、Kyrieは通常のテンポ、合唱も安定した歌声。数秒間を置いてDies iraeに入ると急加速。ミューザ川崎は残響がやたら長く4階席で聞いていると、合唱とのズレになって音の濁りを感じる。 Recordareからテンポが戻り落ち着いて聞ける。フィニッシー版Lacrimosaは初めて聞くが、ソリストが入り、ヴェルディ・レクイエムの様になっていて、ジュスマイヤー版とは大きく異る。 Lacrimosaが終わると小さな鐘が数度鳴らされる。仏壇の鐘のように聞こえて違和感あり。その後ジュスマイヤー版に戻り落ち着いて聞けたが、Agnus Deiの後再び鐘が3度鳴らされる。 そしてソリストが座り、合唱のアカペラでリゲティ「Lux eterna」を演奏。この曲は「2001年宇宙の旅」の映画で使われており、16声部の音のぶつかりで独特の響きを生み特にアルトのバランスが素晴らしい。 このホールの残響効果も効いている。そしてジュスマイヤー版Lux eternaに戻って終わる。 ソリストは、リゲティ「Lux eterna」以外は合唱部分も歌っていた。ソリストの重唱部分は、バス・バリトンの響きが高めでバランスは今一。合唱はリゲティ含め素晴らしかった。 指揮者ジョナサン・ノットは、古典のモツレクと現代曲を組み合わせて、通常の演奏会とは異なる音楽効果を狙ったと思われるが、なぜモツレクの曲の中にリゲティを入れたかはよく解らない。 マスクがなければ「ブー」を飛ばしたい所。 モツレクとしては、それなりに満足出来た演奏だったものの、曲の組み合わせが最後まで理解できないコンサートだった。End