東京春祭「エレクトラ」は歌手とオケに圧倒されて
鑑賞日:2024年4月21日(日)15:00開演入場料:10,500円(D席/3階 L4列)【主催】東京・春・音楽祭実行委員会【共催】読売日本交響楽団東京・春・音楽祭2024歌劇「エレクトラ」op.58<演奏会形式>リヒャルト・シュトラウス作曲全1幕(ドイツ語上演/日本語字幕付)会場:東京文化会館大ホールスタッフ指 揮 :セバスティアン・ヴァイグレ管弦楽 :読売日本交響楽団コンサートマスター:長原幸太合 唱 :新国立劇場合唱団合唱指揮:冨平恭平出演エレクトラ :エレーナ・パンクラトヴァクリテムネストラ:藤村実穂子クリソテミス :アリソン・オークスエギスト :シュテファン・リューガマーオレスト :ルネ・パーペ第1の侍女 :中島郁子第2の侍女 :小泉詠子第3の侍女 :清水華澄第4の侍女/裾持ちの侍女:竹多倫子第5の侍女/側仕えの侍女:木下美穂子侍女の頭 :北原瑠美オレストの養育者/年老いた従者:加藤宏隆若い従者 :糸賀修平召使:(新国立劇場合唱団)前川依子、岩本麻里、小酒部晶子、野田千恵子、立川かずさ、村山舞感想 東京春祭の千秋楽にR.シュトラウス「エレクトラ」の公演があるとのことで、すっかり葉桜となった上野へ出掛けた。 ヴァイグレ指揮読響の「エレクトラ」は2022年読響定演に企画されたが、新型コロナ感染の影響で中止になった公演を企画時のキャストを揃えて行うもの。 本公演チケットも発売初日WebアクセスしたがE席が取れず、D席となり1万円を超えてしまった。 なお「東京・春・音楽祭」の前身である「東京オペラの森」2005年第1回公演のオープニングが「エレクトラ」であり、その指揮が先日亡くなった小澤征爾であったのも繋がりを感じる。 客席は空席少なくほぼ満席。舞台は反響板で囲まれ、張り出しが出されいるが、照明等含み演出は一切なし。 舞台上にはオケの一部が既に座って楽器の音出しをしている。開演時間のブザーと共に、コンマス含め残りのオーケストラメンバーが舞台へ登場し、チューニング。8プルト4管編成で約100名で壮大。 指揮者登場し、演奏が始まるとその大音量の音楽に圧倒される。その中で歌う歌手は大変であるが、皆さん素晴らしい。 まずは侍女5人が黒いドレスで登場し、エレクトラの噂を歌い始める。日本では主役を歌う方々で、しっかり聞こえる。会話の演技も上手い。 タイトルロールのエレーナ・パンクラトヴァはほぼ出ずっぱりで歌い続けるが、強靭ではないもののよく響く歌声で最後まで歌いきった。 エレクトラの妹クリソテミス役のアリソン・オークスは、圧倒的な声量でかつ輝くような歌声でオケがfでも十分に聞こえて来て素晴らしい。 クリテムネストラ役の藤村実穂子は、落ち着いた中にも不気味さを感じさせ、役に成り切った歌声で流石です。 出番は少ないが、エギスト役シュテファン・リューガマー、オレスト役ルネ・パーペもよく響く歌声で素晴らしい。 ルネ・パーペだけが譜面を見ていたが、その他の皆さんは暗譜で身振りの演技もあって良かった。 合唱は、召使で女声6人が少し舞台に登場したのみで、あとは裏歌。カーテンコールで登場し、男女各8人位。裏歌ではPAが使われていた。 一番良かったのはオーケストラ。大人数、大音量でありながらも、細部までバランスの良い演奏で、複雑で分厚いR.シュトラウスの音楽を表現していた。 特に指揮者セバスティアン・ヴァイグレは体を上下左右めいっぱい使って指示を出し、オケもそれに合わせた演奏で、エンディングの盛り上がりには圧倒された。途中ヴィオラからヴァイオリンへの持ち替えを直接見られるもの演奏会形式ならでは。 R.シュトラウス「エレクトラ」はMETライブビューイングで見たことあるものの、生演奏は初めて。演奏時間は約100分。飽きること無く、緊張感が持続した演奏を楽しむことが出来た。 これで今年の東京・春・音楽祭は終了。来年の音楽祭ではキャスト・オーディション募集で東京春祭ワーグナー・シリーズ vol.16「パルジファル」(演奏会形式/字幕・映像付)のアナウンスが既に出ている。今回同様にR.シュトラウス作品も取り上げてほしいく、来年もレベルの高いオペラ公演をぜひ聞きたい。End