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profile:山本ふみこ
随筆家。1958年北海道生まれ。つれあいと娘3人との5人暮らし。ふだんの生活をさりげなく描いたエッセイで読者の支持を集める。著書に『片づけたがり』 『おいしい くふう たのしい くふう 』、『こぎれい、こざっぱり』、『人づきあい学習帖』、『親がしてやれることなんて、ほんの少し』(ともにオレンジページ)、『家族のさじかげん』(家の光協会)など。

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2014/02/18
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カテゴリ:うふふ日記
 東京・新宿のカルチャーセンターではじまった「エッセイを書いてみよう」の講座も、気がつけばじきに2年めを迎える。
 お話をいただきはじめてみようと決心したとき、先のことはまるで予測できなかった。自分にできることは4つ。皆さんの作品を読むこと、ちょっと添削すること、時時(ときどき)にふさわしい文章を紹介すること、わたしの知る限りの書くときのちょっとした約束事を伝えることだけだった。できることは一所けん命したいと思って、そうしてきたつもりだが、そのこととは別のところで講座は育ち、つづいてきた。
 12人からスタートし、現在は20代から80代まで20人のお仲間がある。20の世界がやさしくやわらかく咲いており、わたしはそのあいだを、唸りながら飛んでいる。そうだ、まさにそんな感じ。
 1年半が過ぎたころ、講座の皆さんと遠足をしてみたいと考えるようになった。いつか、そんな機会がめぐってくるといいなあと思いながら、遠足に行くなら……、と、行き先を考えるともなく考えていた。
 2月に1回、わたしの都合で休講しなければならない日ができたとき、あ、遠足!とひらめいたのは、自然なことだった。講座1回のかわりに遠足を計画したのである。そのときには2月の寒さを考えず、雪の予想もしなかった。ただただ、あたまのなかに「えんそく」のひらがら4文字がひらひらひらひら飛んでいた。
 大人としての配慮には欠けているが、配慮ばかりじゃおもしろいことの生まれる余地はない、とこっそりわたしは考える。
 遠足当日は雪の予想だった。
 東京へのことし2度めの大雪がくるという。
 予想は見事に的中し、その日の朝、起きたときにはあたりはもう白かった。  
 ……雪の遠足。笑おうとしたが、笑えなかった。思いきりうろたえた。
 よほど情けない顔をしていたのだろう、夫が「バスでの移動もあるから、ぼくも行くよ」と云ってくれた。当然のことながら、欠席の連絡が3人から入る。
 結局総勢14人の遠足となった。
 集まったひとりひとりの顔を見るなり、笑いがこみ上げてきた。たのしい遠足になりそうだった。
 テーマは、東京都武蔵野市めぐり(わたしの暮らす街である)。
 ひと・まち・情報創造館「武蔵野プレイス」、やさい食堂 七福(武蔵野福祉作業所)、武蔵野市立吉祥寺美術館である。
 やけにたのしくて、それぞれが何かをみつける不思議の遠足となった。このはなしは、いつかどこかでゆっくり聞いていただくとしよう。

 翌日は土曜日で、びっくりするほど雪が積もっていた。
 家のなかの感覚だと、綿のようなものにくるまれているようでもあった。静かな朝だった。
 静けさを破って、電話が鳴る。1月の半ばに家を出て、ひとり暮らしをはじめた長女からだった。
 「おはよう。雪、だいじょうぶ?」
 と挨拶。
 前夜、帰宅が遅くなった上、電車が動かず難儀したそうだった。最寄り駅から、暗くて長い道をひとりざくざく、ざくざく歩いて帰るところを、偶然友人のクルマに拾われて、帰宅したというはなしを聞く。
 奇跡のようなはなしだが、こちらも負けじと雪のなかの奇跡の遠足のはなしを聞いてもらう。電話を通して、笑い声が耳に響いた。
 「あのさ、ちょっともホームシックにならないの?」
 と尋ねる。
 「忙しかったから、かかる間がない」
 という答え。それは、こちらも同じだった。仕事や用事に救われて、さびしがる暇(いとま)がなかった。
 「一度遊びにいらっしゃいよ」
 と友だちに向かって云うような調子で云いながら、そんな自分の有り様(よう)だって、ひとつの奇跡だと心づく。
 「行く行く。あのね、お母さん、とっても暮らしがたのしいよ」
 
ブログぬか漬け.jpg
ことしは、冬期もぬか漬けを休まず(これまでは
冷凍していました)、やってきました。
食卓を支えてもらいましたし、
胃腸も守ってもらっているような気がします。
友人が、ぬか漬けめあてにやってきて、
ビールを飲んだりして、それも愉快です。
写真はブロッコリ(さっと茹でて漬けています)、セロリ、
かぶ、大根、にんじん。
ほかにこの季節は、
ピーマン、きゃべつ、いろいろの青菜、長芋を漬けます。
ぬか漬けを休まずつづけられたことも、この冬の奇跡でした。





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最終更新日  2014/02/18 09:44:23 AM
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