人口論/マルサス 二回目
前にもこの本については書いていると思うけれど、そのには具体的なことをまったく書かなかった記憶がある。15,16日に介護支援専門員の最後の研修がある。その時にもっていくレポートを書くための準備がほぼ整ったのでちょっと息抜きに読書でもしようかと思った。一回読んでいて軽く読めそうな本を探していたら人口論/マルサスが目についた。本というのは、一回読んだだけでは理解が不十分な場合が多い。一回読んでからさまざまな分野の知識をたくさん詰め込んだうえで二回目を読むと一回目では理解できていなかったことがはっきりわかる。19章あるなかの7章までしか読んでいないが、非常に興味深い考えがあった。前に読んだ時にも引っかかってはいたのだけれどその時には深く考えようとはしなかった。マルサスは『救貧法』を否定していた。『救貧法』はかえって貧困層の数を増大させると主張している。『救貧法』についてはGoogleとかで検索すればわかるだろう。社会保障制度の歴史でまっさきに出てくるのが『救貧法』だ。『救貧法』は今の日本の制度でいえば『生活保護』のようなものだ。しかし、ほとんど自由が剥奪される。という点で大きく違う。貧民を救済する社会保障は結局は貧困層の拡大とその貧困の苛酷さも増大させる。広義に解釈するとこうなる。日本の現状を鑑みても間違ってはいないとおれは思う。しかし、社会保障制度を全部廃止してしまったら、国民であるメリットがなくなってしまう。この問題はどうしようもない問題であることはマルサスが指摘するまでもなく必然だと思われる。根本的な解決は不可能であり、その時々に合わせた対処をしていくしか方法がない。世界中にの国家は根本的な解決は無理だとわかっていても、国民の福祉を考え、国民の要請に応えていくしかない。先進国特有の社会問題ではあるが、働けなくなった高齢者の幸福をどうすればいいのか?という議論が毎日のようにニュースになる。貧困の解決という視点だけでみると後期高齢者医療制度はぜんぜん甘い。後期高齢者の医療行為を一切禁止するか、すべて安楽死するかそれくらいのことをしなければ貧困の問題には何のインパクトもないだろう。しかし、こんなこと今更議論するまでもなく不可能だ。今の人口増加は全世界共通の要因によって起きている。それは出生率の増加や早婚などではなく、平均寿命の増加によって起きているのだ。『アフリカの貧しい子どもたちを救え』とかいうと、『無計画に子供をつくるのが悪い。自業自得だ』という見当違いのことを言う人がいる。しかし、ほとんどの国では出生率はむしろ低下している。それならなぜ人口増加に歯止めがかからないのかというと。『死亡率』が低下しているからなのだ。死亡率の低下が平均寿命を引き上げそれが人口増加につながっている。なんでも日本の常識で語るのはよくない。日本やその他の先進国では少子高齢化が大問題だが、その他の大多数の国々では若い人の人口比率が高く、高齢者は少数なのだ。社会福祉の極端な例として社会主義国家を例として取り上げられるだろう。社会主義国家は自由と引き換えに生活の保障を受けていた。しかし、実態は国民のほとんどが貧困層になってしまった。社会福祉制度はより多くの貧困層を生み出す原因である。というのは正しいと思われる。しかし、それを廃止すると最低限の暮らしを保証するという憲法に反することになってしまう。金を支給すれば生活は豊かになるか?その点でもマルサスは否定的だ。みんなが金持ちになればたくさん買いものをするようになる。そうすると売るものが不足してしまう。そうすると物価が上昇する。物価が上昇すると実質的に貨幣の価値が下がってしまう。だから現金をばらまくのは根本的な解決策にはならない。人口論/マルサスは古い本ではあるが、驚くほど思慮深い考察がされている本である。おれは古い本を読むのが好きなのだ。こういう古い本が現在でもある程度通用するということに感動してしまう。ギリシアの哲学なんかもびっくりするほど考え抜かれている。プラトンとアリストテレスの本も数年以内に全部読むつもりだ。ロックや、アダム・スミス、ルターの本もいずれは読みたいと思っている。16日に晴れて介護支援専門員というソーシャルワーカーのはしくれになる。これからは社会福祉、社会保障について書くことも多くなるだろう。おれはその分野の研究職になることを目標にしている。その分野の専門教育しか受けていない人よりは学際的な考え方ができると思う。これがおれの強みだ。おれは相談援助業務で終わるつもりはないよ。本・読書ランキングです↓押してくれ!こっちはアクセス解析です。おれの買い物--本のリンク書く予定