一句鑑賞「片陰を出づれば影を連れてをり」片陰を出づれば影を連れてをり先日の句会でおりくが頂戴した鈴鹿均(ヒトシ)さんの句です。片陰とは真夏日の昼下がり、建物や電柱、樹木や塀によって出来る濃い陰のことを言います。 八月になると太陽の勢いは益々増して来て、灼熱地獄をもたらせます。喉は渇くし、首筋には発汗が固形化して塩が噴出しているほど。そんな炎昼の中、少しでも日陰を選んで目的の場所へと急ぎます。 今、百日紅(サルスベリ)の葉陰を踏んで、いっ時の涼を得たけれど、わが身の背中を振り返れば、自分のも陰影濃く出来ている。そしてそれは自分の移動に従ってついて来る。自分の影にその身を休めることは出来ないけれど、この小さな陰だって、幼い子供たちの役に立つのかも知れない、ふとそんな思いに囚われたのでしょう。 私達は自分の為にだけ欲求を満たそうとしていたら、一時的にはその欲は充たされますが、なお次なる欲求に苛まれる無限地獄に陥ることになります。けれど、見返りなど意識しないで、無心に他人の役に立つ行いをした時、それらの人々の笑顔に心洗われ、平和で幸せな心境になれるのでしょうね。 本日も台風接近する中、今月最終の句会に出かけます。どうか、皆様にも台風被害の無いことを念じつつ・・・・。 最終更新日 2005年07月26日 11時52分09秒 |