団伊玖磨『好きな歌・嫌いな歌』
〇昭和52年4月15日第3刷の掲題の書はどうやら私が古書店から500円で購入したもの。古書としての値打ちはまさかの11,210円とは驚きです。読売新聞社発刊の団氏の他の書籍には、横井庄一氏や水谷八重子氏らとの対談集『毒ヘビは急がない』や『さしたる用事はなけれども』があります。さて「襟裳岬」の節では、<ヒット曲が出るということは、その曲が他の曲をどれほど殺すかyぴうことにかかってくる。><まさに一曲のヒット曲が実現する裏には、殺された沢山の曲の怨念がただよい、一将功なりて万骨枯るといったすさまじさである。>また森進一の声は、下の倍音が響き、それほど高く聞こえないけれど、実際には非常に高いテノールである。<襟裳の春は・・・の音程は驚く莫れ五線の上のAフラットである。よほど訓練された声でなければ出せぬ音程である。>昔の春の歌では、必ず花が咲き、鳥が歌った。そうした月並さを吹き飛ばして・・・。実に興味のなる音楽評論ではありませんか。