カテゴリ:妄想天国
「ホントの本気でやるの?!」
目を吊り上げた彩に詰め寄られて、透耶はじりじりと後ずさりをした。が、すぐにベッドルームのドアに追い詰められてしまった。 最近身長が伸びだした彩は、前よりずっと迫力を増していた。昔も勝てなかったのに、今なんてもっと無理だ。 透耶は早々に白旗を振って、「ごめん」と謝った。 「ごめんじゃないよ~! 明日が何の日だかわかってるの?」 「バ、バレンタインです」 「そんな日にカフェ開けるなんてっ」 いや、だって普通開けるだろ。 平日だけどバレンタインだからこそ、ウェイター目当ての女性客を当てにして。 という反論は彩に受け入れられないとわかっている。 「ショタカフェなら、僕が睨みを利かせてチョコを阻止できるのに~!! 明日なんで平日なの?!」 も~っとシャワー後の半乾き状態の髪を、グシャグシャと掻き混ぜた。 いつもはサラサラの髪が、あっちこっちに跳ねてしまった姿は、子供らしくて微笑ましかった。 「風邪引くよ」 彩の首にかかっていたタオルを取り上げ、優しく整えるように拭っていく。 「もうっ、どうしてそんなに余裕なの?」 「だって、俺にチョコレートくれるのなんて、同情した近所の奥様方くらいだよ」 その奥様方が『可愛いわね~』と妙な秋波を送っていることに、透耶は全く気がついていない。 だから嫌なんだよっ。 と、裕輔さんの報告で状況を知っている彩は、叫びたいのを必死でこらえた。 教えて変に意識されたら、余計な波風が立ってしまうかもしれない。 かと言って、何を言っても真面目な透耶はカフェをお休みにしないだろうと、拗ねた気分で口を尖らせた。 ―――かくなる上は…。 「じゃぁ、今夜はサービスしてくれる?」 背伸びして囁いた彩の声はしっとりと濡れて響いた。 付き合い始めた頃は、こんな些細な誘いにもいちいちビクついていた透耶だったが、慣れてきた今はそんなことはない。 「ぁ……」 ビクビクするのではなく、今はとろりと蕩けるほどだった。 甘い吐息の漏れた唇を難なく奪うと、手を伸ばして透耶の背後のドアを開けた。 身長差がなくなるとキスするのが楽だなぁと彩はニヤッと笑った。 「ん…、あや?」 「ん~、僕背が大きくなったでしょ。だから、ね。…アレも大きくなったか確かめてよ」 ここで…というように、ペロッと透耶の唇を舐めた。 きわどい言葉に透耶がヒクッと怯んだ隙に、彩は強引にベッドに押し倒す。 「体格差がなくなってくると、押し倒すのも楽だよね」 にっこりと笑う笑顔の裏で、明日の朝足腰立たなくすれば、お店を休むかもしれない…という打算があった。 バレンタイン企画、というほど量もなく…。というか「前夜」のくせに、すでに当日になっちゃってるし。 けど、突発的に書きたくなったお話です。 この続きも全く考えていないんですよね~。 あ~「アレの大きさ~」のくだりがちょっぴり書きたくて(苦笑)←下品ですみません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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