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カテゴリ:アニメの現在過去未来
アニメ版の「時をかける少女」(監督:細田守)は高く青い夏の空が美しい映画だ。
主人公の紺野夏美はやんちゃでお気楽な高校2年生。 悪友の二人間宮千昭と津田功介は異性であるが気の置けない関係である。三人は野球が好きで青い空の下キャッチボールしたり野球をしたりする。 キャッチボールに象徴されるこの三角形は微妙なバランスでなりたち、一角が壊れるとバランスが壊れてどうしようもなくなる危うさで成り立っている。 夏美はあることをきっかけに時間を跳躍する能力を持ってしまう。 このきっかけは連綿として繰り返された原作通り実験室なのだが媒体がラベンダーの香りではなかったりする。 そしてその力が発動するのは大きな事故であるのだがこのシーンでも空が美しい。悲惨な事態に比べてなんとその空の青く美しいことか。 以後の夏美はそのタイムリープ能力を文字通り浪費する。 この辺りの馬鹿馬鹿しいドタバタな乗りが脳天気な夏美の性格を現している。極めて享楽的にタイムリープの能力を使う夏美だったがやがて文字通り分かれ道に立つ。(そこが交通標識の分かれ道なのが暗示的である) その分かれ道で(空は黄昏の赤い夕焼け空である)彼女は選択すべき道をえらぶことができずタイムリープをくりかえしそれを「なかったこと」にする。それは夏の青い空を失うのが怖いかのように。 タイムリープ能力を使いきった彼女はやがて気づくのだ、本当は時間は戻せないものだと。号泣する彼女に残されたもの、それは・・。 大林宣彦監督の「時をかける少女」は尾道という今そこにありながら懐かしい街を舞台にして観る者を懐かしい空間に運んでしまう。当時からしても当然古さを感じる20年前の原作をその懐かしい感じそのままに映像にしてしまった。デビューしたての原田知世の初々しさもあり同時代の若い人より年齢を重ねた上の世代を泣かせる作品になっていた。 今回のアニメ版は大林版の「懐かしさ」よりも今現在ある「若さ」を感じられる作品になっている。 本作には「魔女おばさん」として原作の主人公である芳山和子が登場する。 彼女はまさにあの「時をかける少女」であるのだが彼女の眼もやはり未来に向いている。 時はもどせなくても今はやり直せる。青い空はその証しだ。 本作は過去をふり向くのではなく未来をみることの喜ばしい感情を強く感じさせる作品になっている。 ラストで語られる非常にポジティヴな一言(あえてここでは書かないが)がその証明だと思う。 夕焼けの空はやがてまた青い空に変わるのだ・・。 昔の「時をかける少女」の印象が強いとちょっと軽すぎると思われるかもしれないが是非見ていただきたい作品。お薦めです。 ※※むしろ昔の「時をかける少女」の感覚を味わいたいという方には「おジャ魔女どれみドッカーン」の細田監督作品第40話「どれみと魔女をやめた魔女」をお薦めしたい。声優に原田知世を迎えた時を永遠に生きなければならない女性の姿を描いた作品である。この作品にも分かれ道の交通標識が登場する・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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