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お空のあいちゃん

お空のあいちゃん

報告

主人はすぐに眠りにつきました。 目にはまだ、たくさんの涙がのこっていました。 枕はなみだで濡れていました。 主人も私も、悲しみと戦っていました。 泣いてばかりはいられない。。。わかっていても、涙はふとしたときにでてきてしまいました。

私にはまだやらなくてはいけないことがありました。 日本の父と母にあいちゃんがお空に行ったことをつたえなくてはなりませんでした。

私は、受話器をとりました。 父がでるか。。。母がでるか。。。妹がでるか。。。なにをどう話したらいいのだろう。。。そんなことを考えながら、受話器を耳にあてていました。

電話に出たのは。。。父でした。。。

“お父さん? 私。元気?”
“ああ、うん。元気だよ。そっちはみんな元気か?”
“うん。。。私達は元気だよ。。。でもね。。。あいちゃんが。。。だめだったんだ。。。”

私はドキドキしていました。。。最初あいちゃんの病気をつたえたとき、父は声をつまらせました。 言葉がでなくなって、母と電話をかわらないといけないほど、ショックを受けていました。でも、そんな心配をよそに、父の声はすぐに聞こえました。

“そうか。。。残念だったね。。。二人とも、ご苦労様だったね。。。体だいじょうぶなのか? 日本に一度帰ってきたらどうだ?”

なんだかホッとしているように聞こえました。 そのあと母と電話をかわるときに、父が“だめだったって。。。”と言う声が聞こえました。母は、“ 残念だったけど。。。戦いが終わったんだね。。。日本に一度帰ってきなさい。”とやはりホッとしたように言いました。

二人とも、あいちゃんが産まれてから、眠れない夜をすごしていたのでしょう。 あいちゃんのことはもちろんのこと、私と主人のことをもっともっと心配していたのでしょう。。。 だから、ホッとする気持ちはわからなくもないのです。 戦いには負けてしまったけど。。。でも、もう私も主人も、そしてあいちゃんも、あいちゃんの病気と戦わなくってもよくなったのだから。。。

父と母に報告ができて、私はおおきな役目が終わったような気がしました。


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