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リパーゼは脂肪を脂肪酸とグリセリンに加水分解する酵素。ヒトでは、消化のために膵臓から十二指腸に出されるが、ほかの組織にも別のリパーゼがある。
脂肪は、中性脂肪(医学界)、油脂(化学工業界)、トリグリセリド(化学界)、トリアシルグリセロール(生化学界)などといろいろ呼ばれるが、どれも同じ物質。しかし、名称を統一する話は聞かない。 リパーゼは、われわれの日常生活に大いに役立っている。まず「消化薬」に添加して、脂肪の消化を助ける。使うリパーゼには、豚の膵臓リパーゼや酵母のリパーゼがある。酵母と聞くと意外と思う人があるかもしれないが、脂肪が生物にとってありふれた物質である以上、酵母にもリパーゼは必要。酵母のリパーゼを発見したのは、私たちの研究グループだった。 次ぎに医療に必要な検査で使われる。おなじみ、中性脂肪の分析である。これも微生物の酵素を利用している。 洗濯洗剤に加えられるリパーゼも重要だ。タンパク質を加水分解するプロテアーゼなどといっしょに、皮脂や血の汚れを除去する。 食品関係であれば、牛乳を弱く分解して、チーズのような香りをつくること、あるいはチョコレートに使う特殊な油脂をつくること、など。チョコレートの油脂は、人の体温付近で溶ける特徴がある。そしてそれが美味しい。 最後に環境問題に関係したお話。日本人は魚をたくさん食べているわけだが、それに伴って骨や内臓がゴミとして出てくる(魚さいまたは魚腸骨という)。これを埋め立てれば悪臭を発し、燃すには石油が必要になる。 そこで魚さいを新しいうちに回収して、粉砕、蒸煮して、魚油と魚粉に分ける。魚粉はカルシウムに富んでいて、飼料になった。魚油は重油の代わりに使えたが、それはもったいないので、これも飼料にすることを考えた。そこで、酵母飼料をつくるために、魚油で生長できる酵母を探した。今日は選ばれた酵母の顕微鏡写真を紹介しよう。酵母の直径は、10マイクロメータ(0.01ミリメータ)程度である。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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