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カテゴリ:宇宙
広島大学両生類研究施設・助教授の三浦郁夫氏が著した遺伝子メロディーの解説「オオサンショウウオの遺伝子メロディーを奏でる:科学とロマン、そして生命の未知なる領域」を読むには、遺伝子に関して最低必要な知識がある。 生命の遺伝を担っているDNA分子は、長い長い鎖である。鎖の構成要素で、実際に遺伝情報を「記憶」しているのは、「(核酸)塩基」と略称される4種類の物質の配列順序。そして4種類の塩基は、A(アデニン),G(グアニン),T(チミン)、C(シトシン)と記号化されている。この方法に従えば、DNA分子はA,G,T,Cに染め分けられた「糸」のよう。 タンパク質の性質を決めるアミノ酸の配列順序は、DNA分子から読み取られる。RNA分子を経て、塩基の3個ずつを順々に読み、3個の並び方(コドンという)から指定アミノ酸が決まる。コドンの種類は61、いっぽうアミノ酸の種類は20であるので、複数(1から6種)のコドンが同じアミノ酸を指定することになる。アミノ酸によって、どうして数に違いがあるのか?遺伝学を学んだときからの大きな疑問である。 DNA分子の上には、多数の遺伝子と「意味不明な部分」などが並んでいる。遺伝子メロディーが目指しているのは、今のところDNA分子全体の音符化ではなく、選ばれた部分だけである。 三浦氏の解説に登場する、選ばれた塩基配列の例は、オオサンショウウオの遺伝子2つ、「Non-coding領域」1つ、「反復配列」1つ、そしてヒトの遺伝子1つの計5例。このうち「反復配列」を除いて、4曲は三浦氏のHPで聞くことができる。何はともあれご試聴あれ! 残る「反復配列」はプロの杉 真理氏による「作曲」であり、「どこから来たの なつかしい 愛の調べ(DNA)」という題名がついている(よく見ると、ど=D、な=N、あ=Aという仕掛けがある)。演奏がHPにないが、楽譜は前述の解説の末尾に載っている。 さて、遺伝子などの塩基配列をどう5線譜に翻訳するか?これには、正直なところ、それぞれの宇宙観が関わるように思える。 振り返って、生物を構成する細胞においては、塩基配列がどうアミノ酸配列に翻訳されるか解明されている。その時、DNA→タンパク質という情報の流れが肯定されている。では、音楽はDNAの下流にあるのか、上流にあるのか?三浦氏は上流にあるとの仮定も示されている。もしそうなら、宇宙の根源に「音楽」があるのである。 根源の「音楽」が、ヒトの耳に聞こえるとは限らない。遺伝子を通じて、ヒトに可聴な形に翻訳されねばならない。その過程を「作曲」と呼ばざるをえないのだろう。 ヒトの音楽に堪能な方は、ぜひ大野博士が考案した基本ルール(1988)や杉氏らが行った「作曲」を検証して頂きたい。(ここでの重複記載は避けた) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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