2004/06/11(金)20:44
時計の無い暮し
子どもの頃、家の柱時計は壊れていた。
直す、お金が無かったので、私が、もの心ついた頃から、ずーっと止まったままだった。
けれど、それでも生活に支障はなかった。
夜が明ければ、仕事をし、暗くなると眠ったから・・・。
テレビもラジオも家には無かったから、番組の時間を気にすることも無かった。
夜明け前に、父が星の位置を見て、
「ああ、もう夜が明ける」と言った。
一日に数回通るバスの音を聞きながら
「昼のバスが帰ったから、ボチボチ、昼飯にしよう」と母が言った。
太陽が西に傾いていくのを見ながら、
「もう少し、遊ぼう」と私は、遊び呆けた。
星の動き、太陽の動き、鳥の声、バスの音・・・。
白んでいく空、高く上った太陽、沈む夕日、闇、蛍の光・・・。
それら全てが、私たちに、時を告げた。
けれども、その時は、時間単位でも分単位でもない。
「時の記念日」の今日、ふと、遠い昔の、
昨日から、今日、そして明日へと、連綿と続く、のどかな時を思い出した。
◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。
★6月9日*昔はどうしていたんだろう:油きり*UP