6495644 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

おしゃれ手紙

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2004.06.26
XML
カテゴリ:父の麦わら帽子

銀の滴(しずく)、降る降るまわりに、金の滴、降る降るまわりに・・・。

有名なアイヌのユーカラの出だし・・・。
アイヌは文字を持たない民族。
彼らの伝説や神話は、全て、人から人へ、口から口へと伝えられた。

2002年2月26日に90歳を目の前にして死んだ私の父も
生まれつきか、産まれてすぐか、右半身が不随だったので、文字を書くのが苦手だった。
その代わり、彼は、口が達者で、面白おかしく、昔の話をしてくれた。


父の祖父(私の曽祖父)は、近くから婿養子に来たこと。
三人の男の子がいたが、三男を溺愛していたこと。

父の祖母(私の曽祖父)は、力持ちだったこと。
名前がハナといったこと。

父の父(私の祖父)は、明治10年生まれだったこと。
日露戦争に行った事。
その、軍事訓練は鳥取で行われたこと。
鳥取から、岡山へは、屋形船で帰ったこと。
おだやかな人だったこと。

父の母(私の祖母)は、岡山の奥の方から、嫁に来たこと。
夫が籠をつけた天秤棒をかつぎ、その片方に荷物、もう一方に、子どもを乗せて、歩いて里帰りしたこと。
手八丁、口八丁で、男どもを言い負かしていたこと。
そろばんを片手に、*フシ*の仲買をしていたこと。
私を、溺愛していたこと。

父のいとこは、母親が早く死んだこと。
病状がよくないことを知らせるために書いた葉書を、親が文字が読めず、長い間、懐にあったこと。
そのため、駆けつけたときは、すでに死んでいたこと。


あるときは、楽しく、あるときは、悲しく、父の話は続いた。

晩年、父は墓を建てた。
そこには、私の先祖の名前が彫られてあった。死んだ年や出身地なども・・・。

そして、こう言った。
「ワシが死んだら、誰も、このことを知っとるもんが、おらんようになる・・・。」と・・・。
父が見たり聞いたりしたこと、あるいは私の祖父母やそのまた先祖の語ったこと・・・。
父が私に、伝えてくれた、温かなぬくもりのある思い出話・・・。
それを私は、ネットという、はかないものの上で語り継いでいこう。

銀の滴(しずく)降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに・・・。

*******愛する私たちの先祖が用いた多くの言語、言い古し、残し伝えた多くの美しい言葉、
それらのものも、みんな果敢なく、亡びゆく弱きものと共に消失してしまうのでしょうか。
おお、それは、あまりにいたましい名残惜しい事で御座います。

アイヌに生まれ、アイヌ語の中に育った私は、雨の宵、雪の夜、暇ある海に打ち集って
私たちの先祖が語り興じた、いろいろな物語のうち、ごく小さな話の一つ、二つをつたない筆に書き連ねました。

「アイヌ神謡集」知里幸恵(ちりゆきえ)*******



◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。 
★6月26日*父の麦わら帽子:特別な日*UP






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2004.07.02 02:01:12
コメント(2) | コメントを書く
[父の麦わら帽子] カテゴリの最新記事


PR

Recent Posts

Category

Archives

Favorite Blog

『「難治の国」ある… New! Mドングリさん

そういえば 清姫も… New! hoshiochiさん

一大決心でした New! あけみ・さん

「原発安全」は思い… New! maki5417さん

天ぷらとローストビ… New! ぶどう^_^さん

Freepage List

Comments

七詩@ Re:「光る君へ」定子&清少納言「香炉峰の雪」(04/22) 定子の母は漢詩の名手で伊周も学才に優れ…
maki5417@ Re:「光る君へ」定子&清少納言「香炉峰の雪」(04/22) 香炉峰の雪 雪のいと高う降りたるを、例…
天地 はるな@ Re[1]:大河ドラマ「光る君へ」と百人一首(03/04) maki5417さんへ 「源氏物語の女君」私も…

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar


© Rakuten Group, Inc.