6495173 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

おしゃれ手紙

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2007.11.01
XML
テーマ:お勧めの本(7214)
カテゴリ:昭和恋々
縁側のある家はいまでもあるのだろうが、縁側の付き合いというのが、このごろなくなった。
隣家との境の垣根の向こうから、
「ちょっといいかしら」と声をかけたり、木戸をほんの少し開けて首だけ覗かせ、
「ユウコちゃん、熱下がった?」と心配すると、
「どうぞどうぞ」と招じ入れはするが、それは暗黙のうちに縁側までであって、それ以上奥へは入らないし、入れとも言わない。
子供のころ、よく見た光景である。
距離がないようで、境界線がきちんとある近所付き合いだった。
向かい合って笑い転げていても、主は縁側に坐り、隣家の人は履物をはいたままなのである。
ほんの五分で帰る場合もあるし、思わぬ長話になることもある。
そうなると番茶が出る。
けれどお菓子までは出さない。
こういう程よい付き合いというものがなくなり、隣人というものもなくなった。
たまたま顔を合わせれば、お愛想笑いだけで、内心では故(ゆえ)のない疑いの目で隣に住む住人を観察している。
庭と縁側がなくなったせいである。
*「昭和恋々」*久世光彦

うちは、お隣とけっこう、仲良しだと思う。
バラが咲いたといっては私が隣に届ける。
お隣からは、貸し農園で収穫した野菜が時々、私の家に届く。
もちろん、部屋に上がって話し込んだことも、何回かはあるが、ほとんどが、家の前での会話で終わる。
そんな時に、縁側があったらいいなといつも思う。
内でも外でもない空間。
なんとも、ファジーな空間、それが縁側。

あいまいな境界で出会うことの積み重ねで、近所付き合いが深まる。

隣の人をよく知っていれば、隣の子どもの泣き声を「騒音」ととることはない。
隣の子の弾くピアノの音にうるさいとノイローゼのなることもあるまい。

何年住んでいても、「隣人」にはなれないから、少しの物音も騒音になる。
騒音トラブルは後をたたない。

住宅の変化はめまぐるしい。

収納場所を増やすために、なくした縁側。
一見、無駄に見える縁側を残すことは、収納を増やすよりも大事なことだったのかもしれない。

秋ふかし隣は何をする人ぞ

    芭蕉

**「昭和恋々」前書きより**
それは、ほんの取るに足らないものかもしれない。
たとえば・・・私たちは、あの日のように雨や風の音を聴くことが、いまあるのだろうか。
このごろみたいに、夜は明るくていいのだろうか。
春を待つという、懸命で可憐な気持ちを、今どれほどの人が知っているのだろうか。

・・・あの頃を想うと心が和むが、いまに還ると胸が痛む。
久世光彦


ボタン



◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。
★11月1日*芋たこなんきん:「昭和恋々(れんれん)」*UP
・・・・・・・・・・・・・





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.11.02 08:09:39
コメント(2) | コメントを書く


PR

Recent Posts

Category

Archives

Favorite Blog

ギンギラギン New! ブルーミント555さん

竹の子ごはん New! maki5417さん

「GIGAワールド通信… New! machiraku_hokkaidoさん

【寝具の衣替え】質… New! ひより510さん

★ 側溝のグレーチン… New! sunkyuさん

Freepage List

Comments

七詩@ Re:「光る君へ」定子&清少納言「香炉峰の雪」(04/22) 定子の母は漢詩の名手で伊周も学才に優れ…
maki5417@ Re:「光る君へ」定子&清少納言「香炉峰の雪」(04/22) 香炉峰の雪 雪のいと高う降りたるを、例…
天地 はるな@ Re[1]:大河ドラマ「光る君へ」と百人一首(03/04) maki5417さんへ 「源氏物語の女君」私も…

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar


© Rakuten Group, Inc.