テーマ:食べ物あれこれ(49621)
カテゴリ:父の麦わら帽子
春にはサイシンゴ(イタドリ)、夏にはカワニナ、秋にはアケビ、柿、椋など子どもの頃の私たちは、オヤツはすべて自分で野や山に行って調達していた。
今の時期は、グミがあった。 私が中学2年まで暮らした、岡山では、グミのことをグイビと言った。 うちにも、グイビの木が植えてあり、この頃になると赤く色づく。 しかし、赤くなるまで待てなかった。 待っていると、きょうだいにとられる。 だから、赤くなる少し手前のだいだい色になると採って食べた。 もちろん、甘いはずもなく、ただ渋くて酸っぱいだけだった。 隣村の電球などを売っている家が街道沿いにあった。 その家には大きなグイビが鈴なりになっていた。 しかも、誰もとらないのか、真っ赤に熟していた。 私は不思議に思って父に言った。 「**の家のグイビは、あんなに真っ赤になっているのは、なんで?」 父は笑いながら言った。 「あの家は、分限者(ぶげんしゃ=金持ち)じゃからグイビより美味いもんがあるんじゃ。」 うちは貧乏だから、グイビを選んで食べるのではなく、グイビしかないのだ・・・父は言った。 しかし、私たちは、豊かな自然の恵みに感謝していたし、父や母との暮らしになんの不足もなかった。 先日、散歩の途中で、鈴なりになったグミの実を見つけ、ひとつ口に入れた。 貧乏だったけれど心豊かだったあの頃を思いだした。 ・・・・・・・・・・・・・・・ ◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。 ★6月26日*父の麦わら帽子:目次* ・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.06.27 10:05:10
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