テーマ:関西(16)
カテゴリ:お出かけ
霜月のころ、■根来寺■を過ぎて、*粉河寺*にたづねいることはべりしに、心細く住みなしたる寺あり。 土塀の崩れたるところも、あはれなり。 かくてもあられけるよと、あはれに見るほどに、かなたの庭に、 大きなる山茶花の丸く切りたる姿に少しこと冷めて、この木なからましかばとおぼえしか。 根来寺に行った日、粉河寺にも行った。 粉河寺の隅ににある十禅律院という寺は、私たち以外に誰もいない静かな所だった。 土塀の崩れ感もよい。 こうでなくてはと思って、見ると山茶花の木が、スパイラルに切ってあった。 こんな切り方をして・・・と、いささか興ざめして、この木さえなければと、思ったことだ。 和歌山県紀の川市粉河にある天台系の寺院。 西国三十三所第三番札所。 山号は風猛山(ふうもうざん、かざらぎさん)。 宗派は天台宗系の粉河観音宗総本山。 本尊は、千手千眼観音菩薩。 伝承によれば創建は宝亀元年(770年)、大伴孔子古(おおとものくじこ)によるとされる。 「十禅律院」は、粉河寺のひとつ。 粉河寺では、写真のサザンカ以外にも、沢山刈り込んだ木があり、寺には場違いの雰囲気だった。 神無月のころ、栗栖野といふ所を過ぎて、ある山里にたづね入ることはべりしに、はるかなる苔の細道を踏み分けて、心細く住みなしたる庵あり。 木の葉に埋もるる懸悟のしづくならでは、つゆおとなふものなし。 閼伽棚に菊・紅葉など折り散らしたる、さすがに住む人のあればなるべし。 かくてもあられけるよと、あはれに見るほどに、かなたの庭に、大きなる柑子の木の、枝もたわわになりたるが、周りをきびしく囲ひたりしこそ、少しこと冷めて、この木なからましかばとおぼえしか。 (第十一段) (現代語訳) (陰暦)十月ごろ、栗栖野というところを通ってある山里に人をたずねて分け入ることがありましたところ、遠くまで続く苔の生えた細い道を踏み分けていくと、もの寂しいようすで住んでいる草庵がある。 木の葉に埋もれる懸樋のしずくの音以外には、何一つ音を立てるものがない。閼伽棚に菊や紅葉などの枝を折ってあるのは、やはり住む人がいるからなのだろう。 このようにしても住んでいられるのだなあと、しみじみ見ているうちに、むこうの庭に、大きなみかんの木で枝もたわむほど実のついているのが、(その)周りを厳重に囲ってあったのには、いささか興が冷めて、この木がなかったならば(どんなによかったろうに)と思われたことであった。 ■神無月のころ:東京駅■ ・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.12.02 20:58:25
コメント(0) | コメントを書く
[お出かけ] カテゴリの最新記事
|
|