テーマ:歳時記(397)
カテゴリ:里山・歳時記
大阪くらしの今昔館で行われている、 ■企画展 モダン都市大阪の記憶■ 2019年3月2日(土)~4月7日(日)という催しを見てきた。 その中で、「四天王寺の蛸めがね」というのが絵入りで展示してあった。 1887年(明治20年)生まれで、大正、昭和初期に活躍した画家、小出 楢重(こいで ならしげ)が子供時代に見た、見世物でにぎわう四天王寺の「蛸めがね」について書いていた。 子どもだった、小出楢重は、この「蛸めがね」が気に入って、 「(中略)私は、今になお彼岸といえばこの蛸めがねを考える。 (中略)何にしても忘れられない見世物である。」と記載されている。 ■春の彼岸とたこめがね■ 「境内へ入るとその雑沓の中には種々雑多の見世物小屋が客を呼んでいた。 (中略)その多くの見世物の中で、特に私の興味を捉えたものは 蛸めがねという馬鹿気た奴だった。 これは私が勝手に呼んだ名であって、原名を何んというのか知らないが、 とにかく一人の男が泥絵具と金紙で作った張(はり)ぼての蛸を頭から被るのだ、その相棒の男は、大刀を振り翳(かざ)しつつ、これも張りぼての金紙づくりの鎧を着用に及んで張りぼての馬を腰にぶらさげてヤアヤアといいながら蛸を追い回すのである。 蛸はブリキのかんを敲(たた)きながら走る。 (▲これがレンズの眼鏡) 今一人の男はきりこのレンズの眼鏡を見物人に貸付けてあるくのである。 この眼鏡を借りて、蛸退治を覗のぞく時は即ち光は分解して虹となり、無数の蛸は無数の大将に追廻されるのである。 蛸と大将と色彩の大洪水である。 未来派と活動写真が合同した訳だから面白くて堪まらないのだ。 私はこの近代的な興行に共鳴してなかなか動かず父を手古摺てこずらせたものである。 私は、今になお彼岸といえばこの蛸めがねを考える。 やはり相変らず彼岸となれば天王寺の境内へ現われているものかどうか、それともあの蛸も大将も死んでしまって息子むすこの代となっていはしないか、あるいは息子はあんな馬鹿な真似まねは嫌だといって相続をしなかったろうか、あるいは現代の子供はそんなものを相手にしないので自滅してしまったのではないかとも思う。 何にしても忘れられない見世物である。 *春のお彼岸は3月18日(月)から3月24日(日) 2019年3月2日(土)~4月7日(日) 今も昔も、大阪は魅惑的なビジュアルに満ちています。 美しくパッケージされた商品、目を引く広告パンフレット、凝ったディスプレイ、豪華な百貨店建築、橋や道路、地下鉄などの都市基盤も含め、それらは形態、形象、記号の宝庫であり、往時のグラフィックからは華やかな時代の息吹が感じられます。 本展では、橋爪節也氏のコレクションから、明治~昭和期の絵画・チラシ・ポスター・雑誌などを紹介し、当時の写真とともに近代大阪を振り返ります。 百貨店、劇場、花街、交通など、さまざまな見所を持つモダン大阪を、グラフィックをたよりにそぞろ歩いてみませんか。 開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで) 会場:大阪くらしの今昔館 8階 企画展示室 休館日:毎週火曜日 主催:大阪市立住まいのミュージアム 入館料:企画展のみ300円、常設展+企画展 一般800円(団体700円)、高・大生500円(団体400円)、団体は20名以上 ※中学生以下、障がい者手帳等をお持ちの方(介護者1名含む)、大阪市内在住の65歳以上の方は無料(要証明書提示) ■大阪学■ にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.03.18 00:01:41
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