テーマ:読書(8186)
カテゴリ:読書
浮舟の姿を偶然見て一目惚れしてしまった匂宮。 薫の君と結ばれていることを知りながらも、強引に関係を持ってしまいました。 浮舟も浮舟で、薫の君とはまた違う匂宮の情熱的な愛に心奪われてしまうのです。 しかし2人の密通はすぐに薫の君にばれてしまいました。 薫の君か、匂宮か……思い詰めた浮舟は、そのおとなしい性格からは想像もつかない行動に出るのです……。 最終巻では薫の君と匂宮、浮舟が三角関係に。 2人の貴公子から思われているのに、浮舟はまったく幸せになれません。 どちらかを選べば、どちらかを裏切ることになる……相反する彼らの魅力が素晴らしすぎて、彼女には恋を楽しむ余裕がありませんでした。 さらに薫の君と匂宮の対抗意識が、より事態を悪化させることに。 そして本作において最大ともいえる悲劇が起こってしまうのです。 恋の果てに何かを得た人もいれば、何かを失ってしまった人もいる……ラストは、穏やかな救いの光が差し込むような、趣深いものとなっています。 ●読書メモ● *は私の気持ち。 *この巻でヒロインになっている浮舟は、天皇の息子、八宮の子。 八宮の北の方が亡くなったとき、身分の低い女に産ませた子供で、 八宮は、浮舟を子どもと認めない。 薫は、浮舟を愛しながらも、身分の低い娘と、心の底では思っている。 匂宮(におうのみや)は、薫と張り合って、浮舟を愛するようになる。 3人ともに、男の身勝手が描かれている。 ●「なつかしお文をしまっておいて時折ながめるのが奥ゆかしい楽しみだというのに・・・。」 *浮舟は、薫や匂宮からもらった手紙を焼くが当時は、残しておいて、時々読むのが普通だった。 世の中は 夢の渡りの浮橋か うちわたりつつものをこそ思へ 詠み人知らず 世の中というものは、夢の中で浮橋を渡っているようなもの。 その橋を渡りながら、絶えず思い悩む。 思い悩む、浮舟と薫の気持ちを表したような歌。 *浮舟は、悩んだ末、髪をおろして尼になる。 長い黒髪は、美人の象徴であり、若さの象徴。 故に、黒髪を切り尼になるとは、その若さを捨て、人生を捨てることになる。 この黒髪を若さ、美しさの象徴とすることは、長く続き、明治期の与謝野晶子の歌にもある。 ・その子二十 櫛にながるる 黒髪の おごりの春の うつくしきかな 与謝野晶子 ■そうだったのか平安時代■ ■あさきゆめみし(1)■ ■あさきゆめみし(2)■ ■あさきゆめみし(3)■ ■あさきゆめみし(4)■ ■あさきゆめみし(5)■ ■あさきゆめみし(6)■ ■あさきゆめみし(7)■ ■あさきゆめみし(8)■ ■あさきゆめみし(9)■ ■あさきゆめみし(10)■ ■あさきゆめみし(11)■ にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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宇治十帖は本編とは違ってどことなく現代ドラマのような趣があります。
三角関係、出生の秘密、記憶喪失…。脇役なのですが、最後に浮舟に想いをよせる少将がすごくよいです。道心がありながら現世への責任感故に出家はできない、亡き妻を忘れずに供養を続ける、浮舟を見初めるが無理だとわかるとせめて友人として生涯の面倒はみたいと考える。身勝手な男ばかりの中で誠実な男性のように思えます。 (2019.06.23 08:36:31)
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