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カテゴリ:映画
美は滅びない。 1911年。ドイツの名だたる作曲家アシェンバッハ(ダーク・ボガード)は、休暇で水の都ベニスを訪れる。 ホテルのサロンには世界各国からの観光客が集まっていたが、アシェンバッハはそこで母親(シルヴァーナ・マンガーノ)の隣に座る少年タジオ(ビョルン・アンドレセン)に目を奪われた。 透き通るような美貌としなやかな肢体、まるでギリシャの彫像を思わせる少年の姿に心は震え、その時からアシェンバッハはタジオの虜となった―。 イタリアの巨匠ヴィスコンティの大作。 静養のためベニスを訪れた老作曲家は、ふと出会った貴族の血を引く美少年の美しさの虜となる。 病に侵された老作曲家は、日々少年の姿を追ってベニスの街を彷徨い続けるが―。 原作はトーマス・マンの同名小説。 マーラー作曲の交響曲第5番の第4楽章アダージェットがドラマを壮麗に彩る。 タジオ少年を演じているのは、当時15才のビョルン・アンドレセン(1955~)。 “ギリシャ芸術最盛期の彫刻作品を思わせる”と原作に記された金髪碧眼の少年を求め、監督ヴィスコンティは自らヨーロッパ中を旅し、スウェーデンのストックホルムでビョルンを見出した。 中性的なその美しさは初公開当時話題となり、多くの女性ファンを魅了した。 作曲家アシェンバッハのモデルは、マーラーだと言われている。 なんとも、優美で、優雅で、*耽美的*な映画だった。 時代は1911年、ベル・エポック。 舞台は、イタリア・ベニスの豪華なホテル 登場人物は上流階級の人々とそれをもてなすベニスの人々。 時代も舞台も優雅。 ヴィスコンティ監督のツテで本物の貴族も集めて撮影された高級ホテルでの宿泊客の集うサロンのシーンの優雅さ!! さすが、本物志向のルキノ・ヴィスコンティ監督作品だ。 大変貴族的な人物で、撮影現場も含め常にマエストロではなく伯爵と呼ばれていた。 愛用の香水は英国のペンハリガンのハマム・ブーケ。 また、ルイ・ヴィトンの鞄を愛用していたが、当時は同社が有名ではなかったので、出演者が勘違いして「さすがはミラノの御貴族だけある。 トランクの生地にすらイニシャル(偶然の一致で同じL.V)を入れてオーダーするとは」と感嘆したという逸話がある。 マーラーの音楽が流れ中、ビスコンティの映像が優雅に進行する。 「映画史に燦然と輝く総合芸術の頂点」と絶賛されるこの作品、2011年に続き、今回は2度目。 ■前回■「『ベニスに死す』を見るよ」と関東の友人にメールした。 友人は、「(そんな名画を見るなんて)嫉妬する」と返事をくれた。 その友人は、数年前に亡くなり、私は、歳をとった。 しか50年近く前の映画だが作品の中で、美少年はいつまでも美しい。 まさに「美は滅びない!」 **耽美主義(たんびしゅぎ)は、** 道徳功利性を廃して美の享受・形成に最高の価値を置く西欧の芸術思潮である。 これを是とする風潮は19世紀後半、フランス・イギリスを中心に起こり、生活を芸術化して官能の享楽を求めた。 1860年頃に始まり、作品の価値はそれに込められた思想やメッセージではなく、形態と色彩の美にあるとする立場である。 唯美主義、審美主義とも。 ■美少年伝説■ ■午前十時の映画祭ファイナル■ ●写真3枚は、2010年に次女が撮影。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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