テーマ:懐かしい昔の話(539)
カテゴリ:父の麦わら帽子
今から60年近く前に私は中学生になった。
中学生になると、紺のサージのセーラー服に白いタイと襞スカートの制服になった。 夜寝る前に、次の日にはくために、スカートの襞を整える作業があった。 それを寝押しとよんでいた. 当時、アイロンなどなかったので、布団の下に敷いて襞を整えなければならなかったのだ。 先日、向田邦子の「夜中の薔薇」というエッセイにそれが載っていた。 スカートは紺サージである。 慎重に前と後ろの襞(ひだ)を整え、そろそろと、整えた襞を乱さぬように敷布団をのせなくてはならない。 (略) あれは当時の女学生の夜の儀式であった。 朝、目が覚めると、一番先に布団をめくって、スカートを調べた。 寝相が悪かったせいだろう、襞に二本筋がついていることもある。 おかしな具合に折れ曲がっていることも多かった。 「ああ、どうしよう」 朝から気持ちが潰れた。 たかがスカートの襞の一本や二本と思うのは、いま、大人になってからの気持ちである。 あの頃は、それが何かの目安だったのであろう。 向田邦子の「夜中の薔薇」襞(ひだ) 私が中学生になる1年くらい前から、父は出稼ぎに行っていたとはいえ、岡山で百姓をしていた父と母は、どうやって私のセーラー服の代金を工面したのだろう? 当時の家の状態からすれば決して安いものではなかったろう・・・。 だからだろうか、私が中学2年生になった夏、百姓に見切りをつけ、一家で兵庫県竜野市に引っ越した。 最近見かける制服は、紺のサージではなく、チェックが多い。 また上もセーラー服ではなく、ジャケットが多い。 どの家庭にもアイロンはあるだろうから、寝押しをする必要はないだろう。 それ以前に、襞がとれないような加工だってしているのかもしれない。 ズボンの折り目を整えるためにも寝押しをしたが、今の人達には、「寝押し」は死語になっているのかも知れない。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.06.26 00:21:49
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