テーマ:懐かしい昔の話(539)
カテゴリ:父の麦わら帽子
11月5日、夫の実家の柿の収穫に行った。
60年以上前からそこにある柿の木は、毎年多くの実をつける。 夫が木に登って柿の実を取り下で、段ボールの箱を待っている私に向けて落とす。 少しして、私の頭に痛みが走った。 柿の実が落ちてきたのだ。 「さるかに合戦や!」と私。 私が幼い頃、父や母から聞いたおとぎ話のひとつに「さるかに合戦」があった。 握り飯を持った蟹が、木の上で柿を取っている猿に、 「握り飯と柿の実を替えことしよう」と提案する。 意地悪な猿は、木の下の蟹をめがけて柿をぶつけ、蟹は死んでしまう。 蟹の子どもが、臼や蜂、栗と蟹の仇をうつという話。 今から60年以上前、田舎にいても、私の家には柿の木がなく、柿はめったに食べられなかった。 そんな中、私の妹は、おやつのおにぎりを持って、家の前に立っていた。 うちの家の前の家の子ども、■A子ちゃん■が柿を持って立っていた。 「かいとうしょう」と妹が自分のおにぎりを差し出した。 「かいとう」とは、「かえこと」つまり、交換ということを妹なりに言いたかったのだ。 いつも父や母に語ってもらった「さるかに合戦」が妹の頭にあったのだろう。 母は、私たちが大きくなってから、何度もその話を楽しそうにした。 その後、柿とおにぎりが交換されたかどうか私は知らない。 今年も柿は豊作だった。 食べきれない柿を夫があちこちに配った。 柿が食べたくても食べられなかった、60年以上前の妹や私に食べさせてやりたいと思った。 にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.12.08 00:03:26
コメント(0) | コメントを書く
[父の麦わら帽子] カテゴリの最新記事
|
|