カテゴリ:読書
森に生きる動物達の生と死を描いた生命讃歌オーストラリアの深い山の中で誕生した子鹿のバンビは、森の動物たちとともにすくすくと成長を遂げる。 ある夜、森の中で一頭の立派な角をもつ牡鹿と出会い……。 手塚治虫は書いている。 「ロードショウーにかかった初日の午前9時、ぼくは切符売り場にかけつけ、最終回までの前売り切符を買ってしまった」 「初日だけではなかった。その翌日も・・・」。 こうしてリバイバルも含めると130回以上も観て描いたという「バンビ」、そして「ピノキオ」。(略) 漫画の神様は、映画が大好きだった。 中でも、ディズニーが大好きで、遂には見た映画を漫画にしてしまった。 これって違反、著作権侵害。 だから版権の問題で復刻することが出来ず、幻だったそうだ。 昭和26(1951年)年11月という時代の漫画を復刻できたのは、 2005年4月。実に半世紀が過ぎている。 調べてみたら、いろんなことが分かったので、ここに貼り付けておく。 漫画界の巨星として、アニメーション制作者として、今なお大きな影響力を持ち続けている手塚治虫が、50年以上も前にディズニーのアニメーションをもとに「バンビ」と「ピノキオ」を漫画化した単行本を出版していた! この事実は、一部の手塚マニアの間に伝説として伝わっていたものの、一般的にはまったく知られていません。 手塚治虫の映画好きはよく知られています。 映画館に入り浸って「バンビ」を80回以上観た、いや100回以上観たという手塚治虫本人の記述がありますが、ビデオなどのない時代では映画を何回も観て、頭で覚えたものを漫画に表現したのでしょう。 しかし、ディズニーのアニメーションをもとにしているとはいうものの、漫画では手塚治虫流に脚色されており、キャラクターは、アニメーション以上に生き生きとして描かれ、完全に手塚治虫作品として完成されています。 その記憶力と卓越した表現力には驚嘆せざるを得ません。 今回はその『バンビ』と『ピノキオ』を当時出版されたままの形で、復刻版として刊行できることになりました。 この出版は、手塚治虫の幻のディズニー漫画を五十有余年の時を経て世に送り出すという意味ばかりでなく、当時の手塚治虫とディズニーアニメとの関係を知る上で、文化的・資料的にも大きな意義があると思われます。 別冊には、野口文雄氏の解説のほかに、『漫画少年』に掲載された手塚治虫/構成・作画の「ウォルト・ディズニー物語」「バンビ」「ピノキオ」を収録しますので、当時を知る貴重な資料となることでしょう。 これを機会に、手塚漫画とディズニーアニメを、読み比べ見比べてみるのはいかがでしょうか。 ■著者について■ 手塚治虫(1928年~1989年) 漫画家。本名、治。大阪生まれ。大阪大学医学部卒。 映画の手法を駆使したストーリー漫画を芸術の域にまで高め、日本の漫画隆盛の基礎を築いた。 作品は無数で、「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「火の鳥」「ブラック・ジャック」「三つ目がとおる」など。 また、長編アニメーションも数多く制作している。 手塚治虫初期作品は、数々の復刻版が出版され、高価な当時の原本を入手せずとも読めましたが、 このバンビとピノキオだけはディズニーの版権の問題で復刻することが出来ない幻の本でした。 (状態のいいオリジナルは高価格です)それが発売から何十年以上が経過し遂に復刻発刊、数千円という価格で読むことができます。 結局のところ、日本での公開50年(+戦時加算)目で、日本国内における バンビとピノキオの映画の著作権が切れたことがこのような出版の企画を 可能にしたのであると思われる。 ■たけくまメモ■ 有名な手塚さんの「バンビを映画館で80回見た説」は、時期的に考えて、この作品を執筆するための取材だった可能性が高い。 当時はビデオなんかなかったですから、映画館にスケッチブックを持ちこんで、必死に模写していたのだと思われます。 手塚流ディズニー調が完成するのはだいたいこの前後の時期で、『バンビ』はマンガ史的にも貴重な作品だといえるでしょう。 さて、なぜこれが幻の作品と呼ばれていたかというと、もちろんディズニーに無断で出版されていたためです。 したがってその後一度も再刊されたことはなく、まんだらけで一冊数十万で取引されるのみで、講談社の全集にも入っていません。 日本にも著作権法は戦前からありましたが、一般にこの認識が普及するのはせいぜい東京オリンピックあたりからで、マンガなどではほとんど関係ないと思われていました。 だからある時期までの韓国や台湾と同じで、日本も海賊版天国だった時期があったわけです。 昭和20年代では、版元や手塚さんを責めるのは酷というもの。 そういうことをしていたのは手塚さんだけではないですし。 ではどうして、ここにきていきなり復刻可能になったのかといえば、MLのよたろう氏情報によれば「直接、ディズニーからの依頼があった」とのこと。 これを驚きと呼ばずしてなんと呼ぶのか! つうか、これ以外に刊行する方法はないわけなんですけど。 ■陽だまりの樹■ にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.10.29 00:09:58
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