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2021/11/17(水)19:42

「小説日本芸譚」:松本清張と芸術家10人

読書(348)

■小説日本芸譚:松本清張■ 【内容情報】(「BOOK」データベースより) 日本美術史に燦然と輝く芸術家十人が、血の通った人間として甦るー。 新進気鋭の快慶の評判に心乱される運慶。命を懸けて、秀吉と対峙する千利休。 将軍義教に憎まれ、虐げられる世阿弥。 将軍家、公卿、富商の間を巧みに渡り歩く光悦。 栄華を極めながらも、滲み出る不安、嫉妬、苛立ち、そして虚しさー美を追い求める者たちが煩悩に囚われる禍々しい姿を描く、異色の歴史短編小説十編。 【目次】(「BOOK」データベースより) 運慶/世阿弥/■千利休■/雪舟/古田織部/岩佐又兵衛/小堀遠州/光悦/写楽/止利仏師 【著者情報】(「BOOK」データベースより) 松本清張(マツモトセイチョウ) 1909-1992。小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。 給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。 41歳で懸賞小説に応募、入選した■『西郷札』■が直木賞候補となり、 1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。’ 58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。 生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) ●読書メモ● ◎は私の感想など。 ★運慶 ●運慶の父康慶までは、いや、彼自身が中年過ぎまでは、彼らは奈良仏師という名で京都三条仏所派からは地方作家として一段低く見られていた。 それが鎌倉幕府の援助の下に運慶が一門を率いて活動し、遂には主流となって三条派を衰微させ、この京の七条に仏所を構えてからは、完全に相手を蹴落としたのであった。 ★世阿弥 ●別に申楽(さるがく)に似たものに田楽(でんがく)があった。 田楽は、猿楽が中央の神社や寺院で興行されるのを真似て、田舎の神社の祭に催された。 田舎猿楽であるから、略して田楽といった。 ◎■佐渡島に島流しになった。■ 1434年、世阿弥もまた、佐渡へ島流しになっていた。 世阿弥って誰?という人も、結婚式でうたわれる「♪高砂や~~この浦舟に帆を上げて・・・」と言えば、ぴんと来るはず。 そんな人がなぜ島流しの刑に?と思うけれど、昔は、上に気に入られなければ、島流しはいい方で、千利休などは、切腹させられた。 足利義教に嫌われたというのが島流しの原因。 ああ、今に生まれてよかった・・・。 ★雪舟 ●雪舟が周防の大内教弘(のりひろ)に寄ったのは、京を去れば次に繁盛の地は西方の山口しかなかった理由による。 幸い此処は生まれ在社の備中の近くでもある。 大内氏は勘合の印を得て対明貿易を壟断(ろうだん)していた。 山口の殷賑(いんしん)は京に勝るものがある。 京都は折から応仁の乱が起り、物情騒然たるものがあった。 ◎■大内氏の繁栄■ ★古田織部 ●織部は利休の茶道に挑んだ。 茶室では、貴人口を復活した。 利休の創意した庶民風の躙り口だけのものをまともにかえした。 彼はこれを武家風と考えた。 その躙り口も利休のときまでは茶席の隅にあったものを、彼は中央に移した。 そのことによって、秀吉のいう、利休の「陰気さ」を明るくした。 ◎この人も切腹した。 ★小堀遠州 慶長十二年十二月、家康は風邪気味で駿府城に引き籠っていたが、夜中に出火して城が焼けた。 その再建に諸大名が務めたが、政一も作事奉行をうけもった。 その巧で従五位下遠江守(とおとうみのかみ)となった。 彼が世間から「遠州」と呼ばれた所以である。 ●利休や織部も多才だったが、政一はもっと多芸であった。 建築、造庭、書、生花、和歌といった風である。 ★本阿弥光悦 (光悦の父)光二が東海道を下って今川家に参ったとき、権現様はまだ幼く、竹千代さまといって人質でありました。 光二は竹千代さまのために小刀をといでさし上げたり、御膳のお相伴さえ仰せ付けられたり、脇差の仕立拵(こしらえ)も仕(つかまつり)ました。 そんな訳で、光二の子の光悦のことをお忘れなかったのでございましょう。 ★止利仏師 ●馬子(うまこ)は物部氏を滅亡させると、その支配下にあった帰化人を己のものにした。 これらは河内平野に多くいた。 いわゆる西史(かわちのふひと)と呼ばれるもので、無論、史ばかりではない。 大和の方は東史(やまとのふひと)と呼んだ。 生駒山脈によって東西に岐れていても同じ帰化人であることに変わりはない同族である。 この同族間に婚姻さえあった。 ◎■史(ふひと)とは 「小説日本芸譚」は、昭和32年新年号から12月号まで「芸術新潮」誌に載った。 昭和32年といえば、「点と線」「目の壁」が連載された年。 まさにベストセラー作家に駆け上がろうとする清張の筆力と幅の広さを物語る作品だ。(解説より) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ にほんブログ村 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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