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2022.06.28
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テーマ:読書(5832)
カテゴリ:読書
 ■福袋■
今、いちばん勢いのある時代小説作家・朝井まかてが、こよなく愛する江戸の町を舞台に、歌舞伎役者や職人、商売人など様々な生業の人々の姿を、中身の詰まった8編の人情話に仕立てた傑作短編集。

◎は私の感想。
■1編目の「ぞっこん」では、「筆」が語り手になる。
看板書きだったあるじと「筆」との出会いや情の深まりを、緩急をつけた落語調の文体で読ませる。

●栄次郎が看板と共に注文を受けた辻ビラは二束の二百枚、それを一枚一枚、精魂を込めて三日で仕上げるのです。

◎なぜ、手で書く?
版画の要領で印刷すれば早いのではないだろうか?

●黄表紙などの読み物や錦絵は版木を彫さえすれば後は要るだけ摺ればいいんですが、寄席ビラは興業の月日から演者演目までそのつど変わりますから、一枚一枚書くしかないんです。

◎共通の部分のみ版木を使って摺り、変わる部分は、手書きにすればよかったと思う。
■2編目の「千両役者」は、ぱっとしない歌舞伎役者に千載一遇のチャンスが巡ってくる。
もう後がない役者の焦りと、破滅と背中合わせの功名心が生々しく伝わる。
■3編目の「晴れ湯」は、湯屋(銭湯)を営む家に生まれた少女が主人公。
客の戯作者や長屋のおかみさんたちのふるまい、子どもなりの家業への意気込み、江戸で恐れられた火事……。
少女は大小のドラマに遭遇しながら、道楽者の父と働きづめの母という夫婦を、一つの男女の形として受け入れていく。

●江戸で湯屋を営む者から奉公人までのほとんどが越後や越中の生まれで、北国者だ。

◎■「富山、石川両県出身者の創業者や店主が多いのは、■農家の次男や三男が都会に出て下積みを重ね、独立して自分の店を持ったことが理由といわれるという。
雪の多い厳しい自然環境で培った粘り強さも関係しているとみている」
■続いて、自分のやりたいことを見つけた古着屋の少女が巻き込まれた揉め事に、愉快なオチを付けた4編目「莫連あやめ」。

◎タイトルの「莫連」とは、「すれっからしの女」という意味。

●江戸は、五月五日に衣替えをするのが習わしだ。
皆がいっせいに袷(あわせ)を仕舞い、単衣(ひとえ)や帷子をまとう。
着物の柄も涼し気な朝顔や流水、蜻蛉(とんぼ)なんぞに変わって、町の風景が一日で夏になる。
■離縁された大喰らいの姉と、彼女を馬鹿にしながら利用する弟の、それぞれの顛末を活写した5編目「福袋」。
花火 ■さらに、女絵師が描いた枕絵が、昔の恋を照らす6編目「暮れ花火」。

●修吉は、呉服商から着物の染めを請け負い、職人に反物を運んで仕事をさせる悉皆屋(しっかいや)だ。
悉皆屋は上方で生まれた生業(なりわい)で、まあ、着物にかかわることのほとんどは、京、大坂に発祥があるものだけれど、・・・。(略)
■堅物の家主が、神田祭のお祭掛になってしまった7編目「後の祭」。
下駄■その日暮らしの遊び人、卯吉と寅次の二人が助けた男からお礼にもらった品で商売を始める8編目「ひってん」。

◎ひってんとは
[名・形動]《江戸時代天明(1781~1789)ごろに流行した語。
歌舞伎界から出た語という》何もないこと。貧乏なこと。
また、そのさま。無一物むいちもつ。

◎損料屋
江戸では「損料(そんりょう)屋」が庶民に重宝されていた。
鍋、布団などの日用品や衣装を貸し、料金を受け取る。
レンタル業者のはしりだ。当時の長屋は6畳程度で家財道具を置く場所もない。
火事も頻繁に起きたからモノを持たないのは合理的選択だったかもしれない


と、まさに福袋のように、何が入っているかわからないワクワク感とお得感。
直木賞作家・朝井まかて初の短編集にして、第11回舟橋聖一文学賞を受賞した傑作!
 朝井まかての本


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Last updated  2022.06.28 10:41:56
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