北海道歳時記:各地の餅つきと正月餅
★大正~昭和初期の事例。■十勝の餅つき正月餅は、お供え用と雑煮用はもち米を買って来て、12月28日につく。その他の切り餅やあん餅、豆餅、よもぎ餅などは家の畑で収穫したイナキビを使ってつく。餅つきの日は、まず女性が午前3時に起きてもち米をせいろで蒸し、蒸しあがる頃には男性陣が起きてきてつき始める。雑煮用やその他食用のもちは切り餅にして凍らし、保存する。■道南松前の餅つき餅つきは12月25日から28日までの間に行い、6や9のつく日は避ける。餅つきの日は子どもも大人も一緒になって餅が柔らかいうちに繭玉を作る。切っておいたみずきや柳の大枝の枝先にもち玉をつくってつける。この繭玉は小正月が終わった17日か二十日正月に下げる。■道北・旭川の餅つき。餅つきは28日に行う。使う米は約一俵。朝の3時から米を蒸し始め、つき終わるのは夜の9時頃になる。白餅、豆餅、草餅の他、くず米の粉を使った団子も三臼つく。白餅は鏡餅をとった後薄くのばして三分幅に細く切り、みずきの枝に巻き付けて繭玉をつくる。間隔を詰めてできるだけ多くの繭玉をつけると豊作になるという。餅は1月15日の*小豆がい*(汁粉)用に丸餅を少しとり大部分は木の*「オリ」*にのす。そしてその夜のうちに角に切り、三斗樽に入れて縁側に置いて凍らせる。餅は真っ白く固く凍りつくが、取り出すときはすりこぎでコンコン叩くと一枚ずつはがれてくる。凍った餅はカビも生えず、焼くとつきたての餅のように柔らかくもどるので都合がよい。(注)*小豆がい*小豆粥(がゆ)の変化か? *オリ*麹蓋(こうじぶた)、■もろぶた■??■仁木町~徳島・脇町の餅つき仁木町では、餅つきに3人の手がいる。暮れの24日から餅つきが始まり、中学生ともなれば数人で臼・杵・セイロ等の餅つき用具一切をそりに乗せ、家々を回り餅をついて回る。各家ではもち米をといで待っているので、早朝の3時頃から昼過ぎまで1軒、3時頃からもう1軒回る。つき手の3人はオヤ、ナカ、コ、返し手をアイドリとよぶ。仁木町は徳島県人・仁木竹吉等が入植した地で、このような餅つきは徳島県の影響がある。徳島県脇町では「三味線餅つき」と称して、大量の餅を多人数でつく際、三味線ひきが加わり賑やかに行われる。この「三味線つき」は町文化財に指定されている。●餅つきのいろいろ●餅つきは、納屋や土間に筵を敷いて行う地域が多い。餅の返し手を東北出身者は「アイドリ」、富山・石川健などの北陸出身者は「テガエシ」、香川県出身者は「テドリ」と称した。また、祓いの儀式として、餅つき前に塩をまいてから火を入れたり、塩をセイロ下に置いた。また、必ず風呂に入って体を清めてから餅つきを行う風習があった。餅をつき上げる順番は、大体最初の臼でお供え餅をつく。餅つきを菓子屋や他人などに頼むことを賃餅といって、餅つき専門集団なる「賃餅屋」は各家を餅をついて回った。■北海道歳時記:各地の餅つきと正月餅■餅つき■■18日間北海道ドライブ旅行■■北海道歳時記:秋の彼岸■■北海道歳時記:秋じまい・庭じまい■■北海道歳時記:餅つき■■北海道歳時記:節分、豆占い■■北海道歳時記:ひなまつり■■北海道歳時記:半夏生(はんげしょう)■■北海道歳時記:北海道の七夕■■北海道歳時記:竹細工■■北海道歳時記:盆踊り■■北海道歳時記:節分ヤイカガシ■■北海道歳時記:雛祭■■北海道歳時記:雛おくり■■北海道歳時記:八十八夜■■北海道歳時記:ローソクもらい■■北海道歳時記:お九日(くにち)■■北海道歳時記:ふいご祭■■北海道歳時記:漁村の正月、農村の正月■■北海道歳時記:節分・鬼やらいと厄払い■■北海道歳時記:歯固め■■北海道歳時記:正月と主な行事■■北海道歳時記:八朔の馬供養■■北海道歳時記:夏祭り・神社例祭(道東)■■北海道歳時記:門別町の秋祭■■北海道歳時記:狸追い/十月十日の祭■■北海道歳時記:納め八日(12月8日)■・・・・・・・・・・・・・・・・ にほんブログ村