作者さんの持ち味が生かされているコミックといえます。
キャラたちがわちゃわちゃやってて、「恋」「青春」もあるかだけど、ずっと緩いんです。
男子新体操という、なかなかに珍しい部活をあつかっていて、それもちゃんと描いてはいるんですが、だからって全員熱血全国大会へGOみたいな展開はまったくありません。
ヘボのままです。
そしてタイトルから誤解されそうなBL展開は…まあ、なくもないんですが、とってもゆるいです。
作中でも「ホモ哲」ってあだ名でからかわれてますしね。
「哲」というキャラは、新体操部ではかなりうまい選手なんですが、それが主人公でもある男の子に恋をしてしまうんですが、私の苦手なBL展開にはなりません
主人公は、小説を趣味で描いている(某犬以下と揶揄される)インドアの大学一年生、縁(ユカリ
ところが意外なことに反射神経はよくバク転とかもできちゃうもんだから、それを新体操部の先輩に見つかって強制入部…といったところから物語ははじまります。
この新体操部の先輩たち、名前が女名前で統一されてます。
シオリ、マドカ、アズサ、メグミ、ナギサ
そこに「ユカリ」参入ってわけです。
「恋」の部分は、このユカリが片思いしている女の子も女子の新体操部員で、ナギサの妹。
それなりに友達としてなかよくなるんですが、鈍感系女子だし、ユカリはへたれだしで、いい雰囲気にはちっともなりません。
この作品は、もしかしたらですが作者さんにとって転換期だったのかと感じながら読んでいました。
花とゆめやlalakの雰囲気に合わなくなってきた頃でしょうしね。
それからフリーになったのか、別の場所で描き始めるようになります。
高校生ものばかりを描いていたのですが大学生のキャンパスライフを描くようになり、幅がひろがったのかもしれませんね。
美麗な絵を描かれる方というわけではありませんし、萌え絵でもないのですが、人物デッサンはこの頃が一番安定していたように思います。
絵が安定していて、キャラのかきわけもできている。それにキャラの私服がそれぞれ個性にあっててよかったなとも。
もともとコメディ寄りの話を描く人なので、内容もがっつりリアル、というわけでもありません。
キャンパスライフといったって、授業にでてるとこなんてありゃしませんしね。
キャラ達のバイト先での話はけっこうあるんですが。
ただやはりキャラはいいんですよね。男女ともに。
女子だと、ヒロインポジの子(雪野)もいいんですが、ヒロインの友人の井上もいいやつなんですよ。
そしてこの子が恋してしまうのが…っていうのもわかるし。
もちろんこの井上がガチに恋をするのは「ユカリ」ではないですよ。
そういう「ありがち」は踏まないんですが、ユカリが最終的に告白して付き合うことになるのはやはりヒロイン雪野ですしね。このあたりは「ありがち」なオチなんですが、それでいいなっていう。
作者くわたんって独特の持ち味があるので、固定のファンはいそうだなと。
流行は追わないし、流行を追うにしてもちょっと別角度的な話になりがちだし。
でも読んでて心地いいんですよ。
あとは、細かい「描き文字」がネタの宝庫すぎておもしろいし、作者さんの読書量がはんぱないなってのがわかります。
漫画好きなんだなーってね。
言ってしまえば「毒にも薬にもならない」系のコミックではあるんですが、それがいい持ち味になっているので、ゆるーい系のコミックが好きな方にはお勧めしたいです。
タイトル検索でガチのBLが出てくるのでそこは注意っす