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カテゴリ:コミック感想
そろそろ文章タイトル廃れてくれてもいいんだけどなぁ… というのも、すんごいネタバレにもなるし、それで完結してしまってるので先の展開を楽しめないんですよ。「あー、はいはい」で終わるっていうね。 さてこちらは、内容はまんまその通りなんですが、実は魔力がありましたヒロインの話。 そこそこ…楽しめるんですが、どうも主人公ふたりが好きになれないんですよ…なんでなのかがよくわからない。 ヒロインのユノは実家で虐げられていたいつももなろうスタートで、たぶんここが一番ネック。つまり、つまらないんですよ。 あーはいはい、いつものねー、としかならない浅さなんですよ。 この実家での「日常」が、ものすごく淡々とモノローグで語られる、つまり「説明」されちゃうんですよ。 こんな説明書読んで、楽しいか?ってことなんですよ。 ぶっちゃけこんなの「侍女」スタートでいい。 だいたいこの侍女になったのだって、どういうツテでなったのか冒頭ではわからず、なんかしらんけど就職できました。ってんだから話になりません。 つまり、冒頭のいじめられてました→家を追い出されました→就職できました って、説明でしかないんですよ。その「説明」に何ページも費やしてる無駄さ。 大好きだった幼馴染とのやりとりにしろ、思い出話のモノローグで出せばいいんですよ。 侍女として働きながらいろんなことを思い出すのでもいいですしね。 友人がいるわけですから、ちょっとした思い出話の時にでも、実は家族とは縁を切っていて、みたいな話したりね? そもそもどうして、どういうツテで「就職」できたわけ? しかもかなり身分の高いお屋敷で働くの、そんな容易くできるの?ギルド?ギルドなの? そういうバックグラウンドがないのに、無駄に冒頭の実家描写があるので、逆に「わからないこと」が増えていってしまうんですよ。 魔力がないから侍女でも下級の仕事しかできないって設定もよくわからないですしね? あとヒーローのディルクですが……なんだろこのキャラ? どういう風に見ればいいのかがわからない。 腹黒なら腹黒でいいんですよ、腹黒っておいしいキャラですからね? でもしばらくは「何考えているかわからない」やつでしかないし、無神経なんですよ。 ユノに実家に知らせなくていいのかとか聞いてるけど、そもそも「侍女」として「下働き」してる時点ですこしは察しろや!!と腹が立ちましたよ。 あえて聞かずにおくのが優しさってもんでしょ? そして二人きりの時にでも改めて話を聞かせてほしいといやーいいんですよ。 とにかくディルクの性格が悪すぎて、到底好きになれません。 もちろん腹黒ならそれでいいんですよ。でもその「腹黒い」ところが描かれていないのでわからない。 そして会話がまず…ちゃんとできてませんよね? これはユノとディルクだけのことではないんですが…会話が全体的に淡泊で説明的なんですよ。 読み物としてこれどうなのってレベルの拙い会話、絵も淡泊なこともあって、ちょっとイラッとします。 「元気だった?どうしてここにいたの?」 とユノを見つけてディルクが言うんですよ。 なにこれ、「会話」って知ってる?べっくらしたわほんま…人間関係構築できる人の発言ではないですよね、頭良いとは到底思えません。腹黒っていうのはね、頭良くなくちゃダメなんですよ? で、 「家を出たの」 とユノが答えたそのあとが、さらにひどい 「俺、実はこの国の王族なんだ、驚いただろ」 はぁぁぁぁぁぁ? ばかなの?ばかでしょ?これ、会話としてどうなの? 白目剥くほど驚いたよ、なにこのやり取り まっとうな人間のやり取りではないですよこんなの。 あげく黙ってるユノに 「どうかした、大丈夫?」 と聞くんですよ、どうかしてるのはお前の頭だよ、大丈夫じゃねーよ!! しかもこの質疑応答、大勢人がいるところで唐突にやってんですよ。 まわりのモブもなんで誰も反応しないの? ユノもユノで四年前のこといきなり謝るんだよ。 場をわきまえるって知ってる? もうここはほんとうに胸糞シーンがつづくんですよ。 ちょっとびっくりします。ディルクっていちおう主人公ですよね? 謝られて、「もういいよ、むかしのことなんだし」と笑うんですよ、しかも性格悪そうに。 で、厭味ったらしく、君は変わらないねと言われて、なんでか知らんけどユノはホッとするんですよ? いやいやいやいや? バカにされてますよね、厭味ったらしく笑ってる顔を描かれてるんですよ、漫画的に。 蔑んだ目を向けられてるんですよ。 これでほっとできます、「読者」目線的に。 ここは漫画家さんがどういう感情を乗せて描いたのかはわかりません。 原作ではディルクはほんとうに心配して言ったのかもしれませんが、漫画としての描かれ方は「蔑み」なんですよ。 ディルクが明らかにユノを蔑んでいる。 これは、四年前にプロポーズを断られたと思い込んでいるから、だというのなら、それを描写しなくちゃいけないんですよ。 でも、後々出てくるディルクはどうもそういった感情をユノに持っていない。 とにかく主人公たちの感情がよくわからないまま話が展開していってしまうんですよ。 ここが大きな不安、不満でした。 その後の展開は、ありがちとはいえど、そんなに悪くないと思えたんですよ。 ヒロインのユノが実はスゲー魔力の持ち主ってのはあるあるなんでもうどうでもいいんですが、呪われた「物」を浄化していく話で、人形が襲い掛かってくるとかいう展開はちょっとホラーっぽくて楽しかったですしね。 呪われ人形の存在をきっかけに、過去の思い出が語られるのも自然な展開でしたから、こういった風にユノの過去を振り返ってくれればいいんですよ… すったもんだありつつ、実は浄化魔法が使えることが分かり、ヒロインの活躍がこれから始まる…って導入は、展開としてはありきたりだけど、そんなに悪いとは思わなかったんですよ。 呪われた道具。魔具を浄化していく際に、その道具の思い出が語られるっていうのは話のつくりとしてはいいですしね。 そして漫画家さんの絵なんですが… 決して下手ではないんですが、漫画としては稚拙です。 なんつーか…場面転換もあまりうまくないのもありますが、とにかくキャラクターが棒立ちして台詞を棒読みしているかのような、大根役者っぷりなんですよ。 上記であげた会話劇が最たるもので、突っ立って、その場に合わない台詞をただ読んでいるだけ。 背景がありそうなようで、意外に真っ白で、どこでだれがどのような立ち位置で話しているのか、という俯瞰した絵がかけていません。…それもあって状況把握ができないんですよ。 そもそも冒頭の侍女仕事の雑巾がけって……もうちょっとこう…場の雰囲気に合わせてくださよい…西洋風なんですからね…モップ掛けとか箒で掃き掃除とかでいいんじゃないかなって。 だいたいあの動きにくそうなふりっふりのロングドレスのメイド服で雑巾がけっておかしいとおもいませんかね? ガラス窓を拭くとかならまだわかるんですけど… いかにも大変な仕事してるんですー下級メイドは不憫なんですーってアピールなんでしょうが、その下級メイドが王子が帰宅したからって広間で一緒に待つ権限与えられているのが不自然なんですよ。 ごく普通に、下級メイドなら、王子の尊顔を仰ぐこと自体禁じられませんかね?「下級」なんですよね、不憫なんですよね? なら、それ相応の「不憫さ」をアピールしてくださいよっていう。 とにかくちぐはぐなところが多すぎて、こういうところは編集さんが指摘するべきじゃないんですかね? 原作の時点でそうだったにせよ、相談して直せるところは直してほしい。 もちろんこんなこまけーこた読者は気にしねーんだよ、と思うのかもしれませんが、物語の根幹、筋金、そういったものがちゃんと考えられてない話って、先に進むごとに矛盾が生じてくるし、つまらなくなってしまうんですよ。 読者だってそんなにバカじゃないんです。 好きで読むからこそ、こまごまとしたところまでちゃんと読みますからね!!! 真剣に読むんですよ、どんなテンプレものだってね。 だって面白くなるかもしれないじゃないですか。そういう期待を守って読むんですから。 そのことを、漫画家さんもちょっと考えてほしいかな、とは思います。 キャラの描き分けもほとんどできていませんから、女の子はほぼ同じ顔です。 男も、基本顔がいっしょで、しかし作画ブレのせいで同じ人物のはずなのに顔が違ってきたりもします。 輪郭線の濃い描き方なのはきらいではないですし、丁寧に描いて「見える」んですよ。ある意味でごまかしがきくともいえますが。 顔ばかり力んで描いているって風にも見えなくはないですが。 そこそこおもしろいと思える展開はあったんですが、会話のひどさや漫画的展開の稚拙さ、あとはヒーローの性格の悪さがどうしてもうけいれられず…先を読もうとは思えませんでした、残念。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.10.14 22:00:05
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