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カテゴリ:コミック感想
溺愛ものと内政ものってやつでしょうか。 なんつーか…うん…微妙です。 悪くはないんですよ、だふん。きちんと内政がんばってる感じはありますしね? でも、賢しらなことをいっていろいろ行動しているのはわかるんですが、具体的に何がどうっていうのが分かりにくいんですよ。 具体的には提示されてますよ?あーしろこーしろとヒロイン自ら指示を出して、まわりもそれに従って改善していくのもなんとなくわかります。 「なんとなく」なんですよ、わかるの。 一つの要因として、「絵」「漫画」の描き方があると感じました。 絵は決して下手ではないんですが、キャラが全員同じ顔なんですよ…しかもごちゃごちゃした絵柄なので、すごく読みにくい。 それは台詞も同じで、やたらとだらだら語るんですが、上滑りしてる感じで、要点がつかみにくい。 無駄な台詞が多いんですよ。 それにいろんな国の名前が出てくるけど、相関関係がぱっと見でわからないし、位置関係もわからないままで話が進んでいくので、頭に入ってこないんですよ。 漫画なのですから、せめて地図を描いてほしい。 なんかもう、ごちゃごちゃとしたまま話が進んでいくんですが、これはいったい何が目的の話なんだろうってのもわかりにくい。 メインは「内政改革」でいいの?それにプラスして溺愛…だろうとはわかるんですが、画面全体がごちゃごちゃと散らかっていて、読みにくいもんだから、メインが何なのかもわかりにくい。 ヒロインは第二皇女のクレア。 このクレアは愛想も愛嬌もない鉄仮面だのといわれていたようですが、「どこが?」なんですよ。 めっちゃ表情豊かですよね?「鉄仮面」って無表情のことをさしているかと思ったんですが、違うようなんですよ。 ここもすっごくわかりにくい。 つまりクレアは「男をたてない」淑女失敗女ってことらしく、「淑女教育の失敗」だのと蔑まれているんですが、ぶっちゃけこの設定、弱いんですよ。 だって見た目可愛いじゃない? 姉と妹にかわいくないみたいに言われてますが、妹とは顔そっくりですし。 愛想がないと言われて嘲笑されてるけど、その妹に対して「にっこり微笑み返し」をしてますよ? これって「愛想よくしてる」ってことでは? もちろん「男」にもにっこりしてますよ? どこがどう「鉄仮面」なんでしょうか? 姉と妹にいじめられ?てるから卑下しがちっていうけど、そんなこと全然なくて、自分の意見、言いまくってますよね? これ、虐げられて卑屈になってた人間の言動ではないんですよ。 相手の、つまり王太子のアグリアに関しては、さっぱりキャラの設定がわからない。いてもいなくてもいいレベルで際立った個性がないんですよ。 台詞は「浮気しないでね」の一つ覚え。 なんつーか、「人間味」がないんですよ、これ、大丈夫? しかもアグリアの顔はころころ変わるんですよ…作画が安定しません。 まあこれは全体的にそうですね。オグリアの弟なんて女の子かと思いましたもん。 みんなおんなじ顔なんですよ。 国王ですら、どっちがどっちの父親かわかりません。 「王様」っぽく描いているせいで余計に個性がない。 なんというか、内政をひたすら頑張って書いているのはいいんですが、そのせいでキャラが等閑になってる感があって、ちゃんと個性をかけていないんですよ。 内政のあれこれを語らせる棒立ちの人形みたいな感じです。 なので、好感を抱く余地もないんですよ。 あと、ちょっと変だなと感じたのは、国同士の関係性です。 これ、わっっっっかりにくいんですよ。 ヒロインのクレアは「フェイトナム帝国」出身 アグリアは帝国の元属国「バラトニア王国」 で、バラトニアは独立戦争をふっかけて「勝った」わけ。つまり独立国としてフェイトナムから離れたわけですよね? そこはいいんですが、それでフェイトナム帝国を「敗戦国」とするのはいかなものなの? 独立戦争で、独立成功はしたわけだからたしかにバラトニアは勝ったかもしれないけど、帝国はべつにそれで国力低下して帝国として立ち行かなくなったわけじゃないんですよね? 他にいくつ属国があるのかもわからない。もしかしてバラトニアだけが属国だったのかもしれないけど、その「歴史」は?どういういきさつがあって属国になっていたのか、「長年」とあるけれど、はたしてどのくらいなのか、力関係は? バラトニアに帝国の総督府くらいあったろうに、その存在も見受けられない。 交易もしてるようだけど、それもバラトニアが表立って…つまりひとつの国として他国と対等に交易してたの? 「紙」のつくりかたわかんなーいとか言ってますが、帝国ガン無視で交易してたんなら、そのくらいこっそりできたでしょ? ただのお隣さんってかんじにしか見えないんですよ。 で、冒頭でクレアがバラトニアに嫁ぐよう要請されて、バラトニアに行くんですが、これを「生贄」だと思っちゃうんですよ? なんで? ただの外交の一環でしょ? 帝国よりはるかに文化がおとっている国に嫁がされる、といった感想は持ってないんですよ。 もしそういう文化的に未熟な国、としての認知がクレアにあるのなら悲壮感出されてもわかりますが。 しかし膨大な知識を有している、賢女として描かれているのに、隣国のバラトニアの国情がさっぱりわかってないって、謎なんですよ。全然賢くないよね? 冒頭でこの「生贄」だわーと嘆いてるシーンで、この皇女は本は読むけど賢くはない世間知らずなのかなと印象を持ったのですが、実際は政治に関与できるほど賢いっていう設定…このちぐはぐ… 帝国側にしてみても、独立戦争起こさせて、しかたなく独立を許すことにはなったけど、つまりそれって「これからは対等な国と国」として扱うことになるだけのことで、「負けた」とは認めないと思うんですよ。 あくまで自治を認めてやる、くらいの態度じゃないと変でしょ? それともすでに没落し始めていて国情は衰え、とても「帝国」としては立ち行かなくなってる、とでも? 国力の差がこの二国でどれほどあるのかがわからない。 バラトニア国が戦争には強い、だとしてもそんなの外交一発でおとろえさせることなんて、「帝国」ならできるでしょ?もちろん帝国の国力にもよりますが。 こういうのをね、みんな「国王」が代表してやっちゃうのが問題なんですよ 外交なら、外交担当の人いるでしょ? まずはそういうところから話って進めていくもんですよ? 帝国、つまりクレアのパパがクレアが不遇な目に合ってるといちゃもんつけてくるのもよくわかんないんですよ。 とにかく、わからないことだらけです。 不自然というか、「そーはならんやろ」っていうか。 クレアが嫁ぐことによって帝国…「宗主国」との血縁のつながりができることで、まわりに「力」を誇示って説明もね、わかるんですよ?いいたいことはわかりますが、国と国の「背景」がないので、「わからない」んですよ。 宗主国の「主」の血縁を誰かもらっておくことで、今後の外交の役に立てたりとかはふつうにあることですので変じゃないんですが、「紙の本の持ち出しは禁止」だってのはわからない。 紙の制作、特許みたいなのは帝国ががっちり持ってて他国に一切情報を流さない、って状況でもないんですよ。 周りの国がどうなってるのかがわからないので。 バラトニアが他国と交易してるの状況があるのに、それを帝国はなんの監視もせずに許してたの? なら、紙の製法くらい伝わるでしょ? この「紙」の設定はかなり足を引っ張ってると思います。 というのも、文化的にはかなり高いんですよ、町の風景でもそうですが、化粧品もひと揃えあり、ドレスもかなり立派。 あげく、廊下や部屋には「絵画」が飾られているんですよ。 つまり「キャンバス」はあるんですね? たぶんここらは漫画家さんが素材をまんま使ってしまった弊害もあるかと思いますが、紙の精製ってね、思いのほか古くからあるんですよ…羊皮紙や木簡が主流ではあったでしょうが、あんなドレスぴらっぴらで、馬車も立派、室内の豪華で食事も絢爛 これで、紙だけはつくれませんでしたーって…不自然すぎるんですよ。 インクもですね。 なんで化粧品はつくれるんだよっていう。 おそらくヒロインの「読書」好きをやりたいがためにつくった設定なんでしょう。 つまり、ヒロインの「無双」のために、いろんなことを捻じ曲げているともいえます。 こういう内政無双ってほんとに難しいんですよ。 さらっと描くのが一番だと改めて感じました。 ドヤ顔でいろんな提案してるけど、それ以前のことが分かってなさすぎなので。 絵はかわいらしい系なのでぱっと見きれいで、描きこみもすごいなとは思うんですが、ごちゃごちゃしすぎて読みにくいのと、漫画として読みにくいのもありますし、肝心なことを「絵」で描いてくれないので、漫画としてどうよ…っていう。 キャラクターに関しては、はっきりいって無個性です。 メイドも戦う系の子たちですが、三人もいる意味がないくらい、とくに個性がない。 王太子に関してはいてもいなくても話が進みます。 よく言えば、登場人物たちに不快感、嫌悪感ってないんですが、それだけだれひとり個性がない、ただ顔を描かれているだけの存在でしかないんですよ。 人間の物語として読めない。 ましてやこれ、溺愛ものでしょ? そして政治って人間関係の話なんですけど…… できれば絵はもうちょっとさっぱりさせてほしいかな…でもけっして下手とは思いませんでした。 どの女の子も同じ顔ですけどね。 お勧めできるかといえばちょっと微妙、といったのが正直な感想です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.10.15 22:00:05
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