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コミックや小説の感想つれづれ書き~かなり雑多に

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2025.12.09
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カテゴリ:コミック感想

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七色いんこ 《オリジナル版》 大全集 1 [ 手塚治虫 ]
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「ハムレット」(唐突)といったら、わたしはこれが浮かぶんですよね。
賛否はあるかもしれませんが、七色いんこは「復讐劇」としてラストを迎えます。
なにしろ冒頭の一話が「ハムレット」でしたからね、やはりラストは「ハムレット」で締める。
そしてそれはけっして復讐果たしてはっぴるんるんでもないし、復讐なんてむなしい明日を生きようっていうんでもない。ハムレットに沿ったエンドかどうかははっきりといえないけれど、あえてぼやかして終わっている。

「いんこ」ははたしてどうなるか、師匠であったピエロのトミーの「復讐」は悲しい結末だった。それを見届けてもなお、いんこは復讐を果たすことを誓うんだよね…

復讐はむなしいものかもしれないし、未来はないものだろうけど、やらねばならないと突き動かされる思いは止められないのだろうとも。

オフィーリアにあたる人物はこの作品では「万里子」かもしれないけど、オフィーリアみたいな結末になるかはわからない。
わからなくていいかな、という終わり方。

ま、まあ、打ち切りという説もあるようだけどね。

七色インコは好みが分かれるコミックだなーと思うんですよ。

ただ、「演劇」にかんしてはさすが神様は詳しくて、作中で上演される劇を調べるのも面白いと思う。
有名な作品がほとんどだけど、もちろん知らないのもあった。

ここでいう「劇」は「舞台」での演劇なので、映画とかテレビドラマとは違う。
これって時代もあるなぁと思う。むかしってそれこそ「ガラスの仮面」でもそうなんだけど、舞台劇ってけっこう人気があったんですよね。
もちろん今でも舞台劇ってのはあるんですが、どちらかといえばマイナー扱いというか。


この話の内容は今更語ることでもないんですが、「七色いんこ」は舞台役者しかも代役専門、さらにいえば本職は泥棒で、舞台に立つ対価は客のもってる宝石など。つまり舞台が始まったらなんらかの「盗難」があるわけだけど、それに関して目をつむれ、というわけね。

この七色いんこは、おおむね舞台を成功させるんだけど、代役でしかないので、本役の人には敵わない、ということもあったりするんですよ。わたしはそれが好きだったなぁ
七色いんこは代役しかできない、という設定もよくて「本物」になれないんですよ。
勝手な解釈だけど、この「本物になれない」ところがハムレットだなーという気がしてたんですよ。

ハムレットは狂気を装ってまわりを欺き復讐を果たそうとするんですが、なんちゅーか、まわりを傷つけまくってあげくなんとなく復讐果たした…かも?なオチにつながるんですよね、いやこれはわたしの解釈ですよ?

これ、七色いんこもそうで、「代役専門」の役者としてピエロの仮面をかぶって周りを欺くんだけど、結局は道化になりきれないんですよね。復讐はたぶん果たすんでしょうが、結末はわかりません。

七色いんこの場合ところどころギャグが強くなってますので、ハムレットみたいな悲壮感はありませんけどね。


小気味いい話かといえば、そうではないんですよね、七色いんこって。
これは背景に「復讐」があるせいもあるんでしょうが、たとえば「ブラックジャック」だって復讐心はあるんですよ。
ただ気の毒にもブラックジャックは復讐ひとつしか果たせてないっていうね。まぁこれはしゃーなし。

この二つの話って背中合わせみたいなところがあって、ブラックジャックは結果的に復讐を果たせなかった。けど、「代役専門」のいんこが復讐を果たしてくれた、ともいえそうで。

だから七色いんこは姿を消してしまったんだな、とも思ったんですよね。ブラックジャックのできなかった復讐をはたして、いんこ自身は姿を消す、っていう。なんかこー、かっこいいよね。そして悲しくもある。

だからってこともあって、七色いんこって読むと少し悲しい気分になるんですよね、いやほんとなんでなんだかよくわかんなかったんですよ、読み始めた当時は。
今は何かわかる気がしてますが。

「ハムレット」がシェークスピアの四大悲劇のうちの一つっていわれるように、読んでてすっきり晴れ晴れ感がまったくないのと似てるんですよね。いやー、単にハムレットがそんなに好きじゃないってのもありますけども。リア王とかマクベスのが好きかもしれん…

むかし、ハムレットの舞台を見に行ったことがあるんですが、観た後の鬱々感ときたら…ってやつで。舞台も終始暗いし。一緒に見に行った友人は寝てましたわ、暗くて。

漫画の神様の「七色いんこ」も、爽快感ってのはほとんどなくて、もちろんコミカルなシーンも多いんですが、読後はしゅん…となります。



作中の劇で好きなのは「ゴドーを待ちながら」とか「ガラスの動物園」「シラノ・ド・ベルジュラック」あたりかな。
一話完結形式なのはさすがといったところで、ほんとうにうまくまとめてあるんですよ。
一話完結ものが好きなのは手塚先生の影響が大きいですわ…サクサクと読めるのに、じつはすごく深い内容だったりね。とにかく何度読んでも面白さを発見できるんだからすごい。知識もはんぱないものね。
そしてアレンジの仕方が絶妙で、作中劇でタイトルの劇を演じることもあるんですが、舞台ではなく場でもその「劇」の流れを演じるのもいいんですよね。

うーん、神様はすごいなぁ…としか。

どちらかといえばマイナーというか、人を選びそうなコミックではあるんですが、読んでみてほしい手塚作品です。いや、まあ、手塚作品はたいていおもしろいんですが

話題のハムレットに乗っかってみたってことで。





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最終更新日  2025.12.09 22:00:05
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