微妙…ですね
なんでしょうかね、これ、すごく中途半端なんですよね
絵そのものは綺麗で可愛いです。キャラ絵は上手だし好きな絵なんですが、おそらく漫画を描き慣れてないんでしょう。
コマの展開の仕方がびしょうにきごちなくて、なんだか読みにくいんですよ。
キャラ絵が可愛いのでごまかせちゃってますが。
たとえばヒロイン視点からの話がべつのキャラへの変更がなんどかあるんですが、その展開の仕方がわかりにくくて、えっ、なんでいきなり?となって、落丁を疑うレベルの繋がりの悪さと唐突さなんですよ
そして意外ではあるんですが、動きのある絵が描けません。
走るとか膝から崩れ落ちるとか、その人体自体はかけるんですが、全然走ってないし、ひざから崩れ落ちたのはわかるんですが、「膝立ちしている姿」を描いただけ、に見えるんですよ。
そしてこれってコメディ要素が強いんですが、そのコメディ部分がおどろくほどつまんないし、むしろ邪魔になるんですよ。
いや、コメディであること自体はいいんですよ。かるくて読みやすいという利点があるし、そのコメディがあってこそ楽しめる内容だと思いますから。
でも、漫画家さんがぜんぜんコメディを「描いて」くれないんですよ。
漫画としてのコメディが全然だめで、読んでて、虚無になるし、むしろもうそんなくだらないシーン要らないから話さっさとすすめてくれとなってしまうんですよ。
いやほんと、コメディ部分が邪魔にしかなってない。
そのコメディも別に不快とかではないんですよ。
やりたいことはわかる。
ここで微笑ませたいんですね、というのは分かる。
ほっこりさせたいんだなぁとかね?
そういう作者の意図は伝わってくるんですが、それが「漫画」として成立してなくて邪魔でしかないんですよ…
この漫画の内容は、婚約破棄でも令嬢追放でもないっちゃないんですが、ある意味で追放系なんですよね?
ヒロインのマリアはべつに「追放」はされないし、自分の意志で出ていくわけですから。
ただ、この「出ていく」理由がよーわからんし、呑み込めないんですよ。
ここがひっかかって、コメディ部分もくだらない展開になってしまうんですよね…
というのも、このヒロインのマリア、実は「庶民」だったようなんです、「生まれ」は。
それを親切なお貴族様、伯爵家のご当主が「養女」にしてくれた。で、伯爵令嬢となったわけだけど。
これに関してマリアは自分はまがいもの令嬢だ、というんですよ。
これってね、そう思う心情はたしかにわかるんですよ。もとは庶民で、生まれながらの伯爵令嬢ではないのだと思う気持ちはごく当たり前。
でもこれを、実は庶民なのに伯爵令嬢になってたのがバレたら「身分詐称」でヤバい、みたいな話にしちゃってるんですよ。
ここが呑み込めない。
たしかに血縁上は貴族令嬢ではないから、王太子との婚姻は困るってんならわかるよ?
でもね?この考え方って自分を養女にしてくれた義父に対して失礼じゃない?
だって「養女」にしてくれたんでしょ?それも「正式」に。
そりゃ、実は遠縁の貴族の娘を引き取ったというのは詐称かもしれないけど、
「家の危機?」と思うほど?
そもそもですが、冒頭めっちゃだらだら設定を語ってくるのに、情報は極めて少ないんですよ。
これねー…どうせヒロインの父は貴族だったとかいうオチなんじゃない?知らんけど。
「薬師」であった母を失くして、とは描かれているけど「孤児」だったとは描いてないんですよ。
父親どーした?孤児だったの、そーでないの?
そして養女に迎えてくれた伯爵も、結婚してたのしてなかったの?
どうも独り身だったようなんですが、妻を亡くしたのかどうか、もともといないのか、そしてマリアを養女としてくれた伯爵家、跡取りがいないわけだけど、どうしたの?
跡取りがいないのでお取り潰し?それとも伯爵の兄弟…弟か妹かしらんけど、それのどっちかが継ぐの?
「叔父」「伯母」という言葉から察しろと?
この場合「叔父」はマリアの養父ヨーンの弟、伯母は姉、つまり冒頭にちらっと出てきた「叔父と伯母」は伯爵当主ヨーンの姉と弟だったわけでしょ、ではこの姉と弟は伯爵家にとってどういう存在なの?どっちかが伯爵家を継ぐの?
男が家督を継がねばというのなら、弟が継ぐのかもしれんけど、そういうの一切触れられてないんだよ。
なのにマリアは家を出ていくとかいわれてもわけわからんでしょ。叔父と伯母には良くしてもらってたんだよね?なのに死んだことにして、という設定ってさらに「偽証」を重ねることになるんだけど、いいの?
どうせ偽証するなら婚約者がおりますのでとかでええやん?
そもそもなんで王子との婚姻の話がでてくんの?
伯爵は独り身で、跡取りは「養女」であるマリア一人なんですよね?
いや、わかるよ?王子…公子が「婿養子」に入るってことですよね?
それに対してもともとは庶民だったんですーと言われても。
正式に養女としてはいってるんだから、べつにかまわんやろ。これが「王家」に嫁いで、王政を担う立場に、というのならそれはちょっと困る…となるんでしょうが。
でも、ちがいますよね?
いや、知らんけど。
ここんとこ、タイトルの「まがいもの」を描きたいがためにそういう無理な設定にしちゃってるんですよ。
なによりこの冒頭の説明パート、ものすんごい読んでて分かりにくい。
そして1ページごとにつっこめますよ…日本語の文のゆらぎがしゅごい…漫画家さん、そこ直して描いてあげてよ
まずね冒頭のうんざりするほど長い説明の一部を引用しますが
「薬師であった母を失くした私を拾ってくれたのがお父様だった
私の薬師としての才を見出してくれて
薬は作れても子供では売ることができない私に
専属薬師のつもりで養女にならないかと声をかけてくれた」
べつに詳しく書けというわけではないけど、ここ、マリアと伯爵はどこでどう知り合ったの?
町で薬を売っていたマリアを見かけて声をかけたの?(変質者か
それとも母親の薬屋をもともと知っていて…つまり領民だったわけで…マリアのことも知っていたから?
ここんとこね、少しでいいからページ割いてほしかったんですよ。
くだらないコメディーシーンをちょっとでも削って。
マリアの父親は?
マリアの母親は薬師だったようだけど、町でどんな風に暮らしてたの?
貧困で困ってたわけじゃないでしょ、薬つくって売っていたってことは。
そしてマリアの母親は何で死んだの?事故?病?医者の不摂生みたいなもので、薬屋なのに不健康だったの?そんな病人の売る薬を、だれが買うわけ?
ならもう、事故死かな…?
で、伯爵もよ?
ここんとこね、いま、領地内で重い病気が蔓延して薬師が一人でも多く欲しいところだった、というのならいいんですよ。で、お抱え薬師としてマリアの母親をスカウトしようと思っていたら、そのマリアの母親は死んでいた。途方に暮れているマリアを見かねて、うちに来なさいと養女に迎えたなら、納得できるんですよ。
そういう過程を、ほんのすこしでいいからページ割いて書いてほしいんですよ。ハムスターなんぞにページ割くくらいなら。
で、のちのちマリア自身が謎に思えばいいんですよ、「わたしの本当の父親はどんな人だったんだろう、母は何も語ってくれなかったけれど」と
こういうにおわせを描けない漫画家さんじゃないんですよ、たぶんですが。
まあ、それはそれとして。
ここで気になったのが「お父様」と「養父」の表記をまぜこぜにしないでほしいってことなんですよ。
「好きなように薬が作れて喜んでくれる人がいる
幸せな暮らしだった
養父が不治の病と言われる黒熱病にかかるまでは」
「必死で看病し
ついに黒熱病を治す薬が完成したのは
お父様が亡くなった後のことだった」
うん、ここですよ。
養父とお父様、どっちかに統一して?
ほんでね?
「必死で看病」「薬を作っていた」を同時進行はいいとして、文として端折りすぎなんですよ。
黒熱病の薬の開発に取り組みながら、寝食をけずって養父の看病もしていたってことですよね?
で、さらに唐突で、次のページでその薬が領民を救ったとか言われるんですよ
うん、領民にその病が流行ってた話はどこに?
領民の間で不治の病黒熱病が蔓延し、ついには養父もその病に侵された、的な一文があるかないかで印象かわるでしょ…
ここの説明もすんごく悪くて
「黒熱病の薬を開発した薬師とそれを支えた令嬢の噂が広がり縁談に至った」
そしてその文の横に描き文字で追記「いろいろ面倒なことになりそうだからその薬師が令嬢自身だとひろまらなくてよかったけど」と。
わかりにくさの極みでしょこれ
でね?
なにがどう面倒になりそうなの?
これって物語の作者的に未来を知っているから「面倒なことになりそうだ」と書いちゃってるんですよ
薬師=伯爵令嬢
これが知られると困ること、具体的にかけますかね?
もちろん未来の話ではなく「現状」として。
さらにねー
「伯母が引き取った養女として修道院入りする手はずになっている」ってなんだよ、ほんともうわからん文章だし設定だな…これって単にヒロインが修道院いくという道筋を作中の都合として描きたいだけでしょ
あとね、これはこの作品に限ったことではないんですが、なろう系あるあるの「説明」の仕方で
「この世界は」
と説明しだすくだりがあるんですよ。
これ、ヒロインの口語として「この世界」としてはいけないの、わかります?
この世界、という視点は「この世界」ではない外の側から見た視点での語りなんですよ。
この世界、とヒロインはいってますが、「この世界」をヒロインはどの程度しっててそれを言うんでしょうか?
せいぜいが自分のいる国とお隣の国くらいでしょ?
幻獣がいるという説明自体はいいんですが、ここは範囲を絞った説明にしないといけないんですよ、なぜならヒロインの視点で語られているから。
いやまあね?
たしかに私たちはもわたしたちの住んでいる世界のことを「この世界は腐ってる」とか「この世界はなんて美しい」とか表現することはありますよ?
でもそれってとても曖昧な表現なんですよ。
でもこの作品内でヒロインが語っているのは極めて現実的で身近なものとして語られている。
ならば「この世界」なんて神視点の口語ではだめなんですよ、物語として。
ヒロインが知っている情報として「読者」に提示するなら
ガラスの森という幻獣が住まう不思議の森が、わが国と隣国の国境にあるらしい
ぐらいでいいんですよ。
実際には赴いたことはないはずで、しかもヒロインが馬車でいく道はその森の近くではないという認識はある。いやなんでそういう認識なのはか知らんけど、ともあれ、「ガラスの森」という不思議の森はあること自体は知っているけど、そうではない森しかヒロインは知らないわけで、
聞くところによると、国境付近にガラスの森という幻獣の住処になってる森があるらしい、でいいんですよ。
で、幻獣とは、と説明してくれたらいい。
もうこの話ってね、こういう日本語の説明が微妙にひっかかることがそれこそページめくる事になるんで、読んでいてすんごいストレスになるし、その文章がまた多いこと多いこと…「絵」としても語ってくれないし、意味不明な大ゴマつかってくるしで、なんかよみにくいんですよ。
で、コメディにしても、「動きのある」コメディが全然描けてなくて、なにがどうなってんのかわかんなくて、コメディとしての「可笑しみ」が全然ないんですわ…
たとえばハムスターに拉致られ背負われて走ってくシーンがあるんですが、スピード感皆無なのに、ヒロインは「すごいスピード」っていうんですよ?
線が横にひかれてるだけです…なんーつーか、スピード感ぜんぜんないのに、そんなこと言われましてもってなるんですよ。ふっ飛ばされるシーンでもそうですし。
キャラ絵はすんごく可愛いし、王子はイケメンだしで、キャラ絵そのものはすごく上手なんですよ。
あ、でもドラゴンの絵はほんともうダメです。なんだあれ。迫力もクソもないですし、あれで空とべると思ってる?そしてありドラゴンは人化するかもしれませんが、人の姿をそのまま書いたって感じですね。
このドラゴン来襲のシーンはドラゴンのひどさに、ある意味で笑いました…いや、笑えなかった…わたしドラゴン好きなんですけど…勘弁して
そして一応ね?ドラゴンを見上げてるシーンとかは描けてるんですが、迫力ないし、あれで「空が曇ってるように見える」になる?
ちなみに「夜」のシーンらしいんですが、「夜」だったことすら漫画内ではわかりません。
いつ夜になったよ。
いやもう、わりとツッコミだらけだな?
ひそかに隠れて暮らしたいとかいってのに、町で薬は三日後にできまーすって大声アビとかバカなの?
いやー、そこそこひどかったわ
ただ、物語としての形はきちんとできていますので、ライバルの薬師とかそのライバル薬師の背後にいるヤツとか、まあ、それなりに「物語」はきちんと用意されています。
イケメン王子の背後とかもそうですね。なんか事情がありそう、というのはちゃんと分かりつつ、その事情に関しては序盤ではまだわからない、と。
「青の薬師」にしてもそうで、あ、これもしやヒロインの父親?いや知らんけど、まあその青の薬師のレシピだなんだと、ちゃんと「気になる要素」は話の中に置かれています。
そんなわけで、これはまあ、わたしはまったくもって楽しめなかったし、いっそストレスになるほどだったんですが、あまり考えず読み流す程度なら、キャラ絵はきれいなので楽しめるかと思います。
コメディとしては…あまり楽しめないと思いますけどね