94冊目「妖鬼妃伝」
妖鬼妃伝 美内すずえセレクション黒の書 (このマンガがすごい!comics) [ 美内すずえ ]価格:1,650円(税込、送料無料) (2025/7/11時点)この漫画を読んだのは小学生の頃だったかないやー怖くて好きな漫画ですよ。今でもあせないホラー漫画だと思います。ホラー漫画ではありますがちゃんと少女漫画してるのがいいですねー怖さ、でいうなら「白い影法師」の方がひょえっとなる怖さですよ。霊体験してる人なら「白い影法師」のほうがよりリアルでこわいんじゃないでしょうか。こちらはホラーですがミステリっぽい要素が含まれているのが面白かった。とあるデパートに主人公のつばさと親友のターコが買い物に行くんですが、そこで「人形展」が開催されているのを見つけ……そしてそこから事件は始まります。「人形」というのはホラーの定番ですねー書き方が実に怖い。「人形の墓」という短編も描かれているんですが、そちらもお勧めです。さて、「事件」はオカルトにからんでくるんですが、つばさがその「事件」にかかわっていくのは親友のターコの突然の「事故死」からでした。事故か自殺か…地下鉄の電車にはねられて、という悲惨なものでした。服はぼろぼろになり、髪も一部切られている…それがまずひとつの不審点としてつばさに疑問をもたせます。そしてターコの死に疑問を持ったつばさは、デパートに聞き込みに行くんですよ。そこでスタッフのひとりの発言に「確信」をもつことになり、デパートに潜入して不思議な体験をする…というのが前半です。このあたりはホラーというより冒険ものというかミステリってぽい流れですよる。九曜というひとりの盲目の美青年と出会うってあたりに少女漫画らしさがあってよかったですわー「人形」のオカルト的要素をすごく上手に使っているんですよ。1000年も生きる「妖鬼妃」様、そのまわりの随身達もまた時を超えて生きているんですよね。そしてそのやり口がけっこうえげつない…けど、これほんとにありそうな話だなぁとも。歴史上の有名人もしれっと名をだしてきて、そこにリアリティを持たせているのはさすがです。この作者さんはこの漫画を描いていたころが絶頂期だったんじゃないでしょうか。絵の迫力がほんとはんぱないんですよね「ガラスの仮面」があまりに長期にわたりすぎてそちらが有名になってしまったけれど、やはりわたしはこの頃の漫画が好きですね。ガラかめも二人の王女あたりまではすごく好きでしたから。この妖鬼妃伝は、デパートや地下鉄といった、身近なところを舞台にしているのが怖さをいい具合に煽ってくれますね。人形が窓に張り付いてるシーンとかめっちゃ怖くかかれてますし。玄関に次はお前だとばかりに紙人形はりつけるとかね。そしてなにしろ少女漫画ですので、最後はらぶなえんどになります。そこのあたりもとても可愛くて、これはヒロインも相手の九曜さんもすごく好きなんですよ。地下鉄に平安時代めいたかっこうの人たちが乗っていくってシーンも、アンバランスさが怖さを掻き立ててくれるんですよ。非日常、異空間、というのを異常な光景をみせることで不安をあおってくる。うーん、うまいです。「黒百合の系図」もそうですが、ヒロインがとても行動的だし、ちゃんと聡いんですよね。無謀なこともするんですが、無謀過ぎないのもいい。ちゃんと友人を頼ったりもしますからね。わたし自身はこういった漫画を読んで、怖くて眠れないとかトイレいけないとかはまったくないんですが、日本人形こわいーーーってなった方はおおいんじゃないでしょうか?古いコミックですので、たとえばデパートのセキュリティーがガバガバすぎんかといったようなつっこみはせず、昭和のホラー少女漫画として、ぜひとも読んで、楽しんでほしいですね