ぼろ雑巾新宿のかな。その7

今日、春風が吹いた。

この小さな小部屋に。


あのひとの名前はまゆり。
もちろん源氏名ね。

このごろトイレに行く回数が異常に増えた。
今日もまゆりさん発見!なんていう日々が続いてた。
そんな時、

「かなちゃんって、腕切ってるんだね。」

唐突な言葉に驚いた。
だって、まゆりさんに名前を呼んでもらえたんだから。


一瞬間をおいてはっとした。


「はい・・・リスカなんです」


どうしようもない切なさがあたしを襲った。


「そうなんだ。ほら、これ。仲間だね。」

龍のタトゥーの隙間には温かい切り傷があった。



にっこりと、あたしはほほえみかえした。


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