臨床の現場より

2007/09/30(日)23:24

設備投資は進めど・・

医療行政(31)

 伊関先生のブログより 最新の2機器を導入 CTとレーザー治療装置 中日新聞 2007年9月28日 ◆新城市民病院来月1日稼働  新城市民病院は、世界最高水準の高精度でコンピューター断層撮影(CT)が可能な「六十四列マルチスライスCT」と最新のレーザー治療装置「ホルミウムレーザーシステム」を導入した。十月一日から稼働させる。  新CTは六十四枚の断層を同時撮影し、撮影スピードは従来の四十倍以上。これまで、数回の息止めが求められた患者は一度だけ息を止めるだけで済む。〇・五ミリ間隔の細密画像が撮れるため診断能力が飛躍的に向上。被ばく量は大幅に低くなり、造影剤量も少ない。  旧CTは老朽化し、精密検査は市外の医療機関に頼っていた。市内の開業医から高度検査装置の要望があり、導入後は広く撮影依頼を受け付けて連携を図る。東三河の公立病院では豊川市民病院に次いで二台目となる。  レーザー治療装置は、結石などの破砕治療や前立腺切除などに使い、切開と凝固を同時に行えるのが特徴で、手術時の出血や術後の痛みが軽くなる。レーザー治療の権威、鈴木明彦副院長が担当する。他院に回していた尿路結石の治療もできるようになる。県内で七病院、東三河では豊橋市の成田記念病院しかなかった。  CT装置は購入、レーザー治療装置は五年間のリース。九月補正予算に盛り込んだ約七千八百万円と、県のへき地拠点病院整備補助金を活用した。  少々気になるもので、取り上げました。  この記事を読んで、市民の皆さんはどう考えるのでしょうか?「新しい、良い検査機器が入った」「病院が充実する」?それとも「高い器械だから自分も病院行こうかな?」  ・・・あくまでhead&neckの邪推です。  色んな所で取り上げられていますが、公立病院では、給与体系が概ねガチガチに規則でがんじがらめになっていて、身を粉にして働いている人に報いるシステムにはなっていないところが多いようです。自分自身の経験でもそうだと感じます。  高額な医療機器を購入、それ自体は悪くはないと思いますが、同じく伊関先生のブログを過去にたどっていくと以下のような記事があります。 新城市民病院夜間診療12月から再開へ 読売新聞 2007年9月2日  新城市は、医師不足で休日夜間の診療ができない同市民病院に、早ければ12月に夜間診療所を開設し、地元の医師会などに協力を求め、内科と小児科の診察を行うことを明らかにした。  診察時間は土日曜を含む毎日午後8~11時。市内や隣接する豊川、豊橋市の医師会などに応援を求めて交代で診察にあたる。これに合わせて、同病院の1室を3000万円かけて改修する。この補正予算案を3日に開会する同市議会に提案する。  同市民病院は奥三河地域の基幹病院だが、昨年初めから医師不足が著しく、37人いた医師が21人に減少。外科の一部を除く休日夜間の救急医療ができない状態が続いている。  この間、この病院の常勤医が増えたというニュースはありません。どう思われますか?  きつい意見ですが、協力してもらった医師会の要望を断りきれずに、へき地拠点病院整備補助金を器械につぎ込んだのでは?短期間のうちに、1億を越えるお金を設備投資したわけですが、おそらく職員の待遇は変わっていないでしょう。知り合いのいる自治体病院では、超過勤務の概念がなく、時間外はすべてボランティアだそうです。日曜日に病棟患者の回診に出勤して、超過勤務を事務にお願いしても、「昔から土日の超過勤務は出していません。先生方の自由意志で病院においでいただいているわけで、勤務命令は無いわけですし・・」と云われたとのこと。この病院もそうかどうかは確認していませんが、多くの公立病院の事務系の方々は市役所等から数年の出向です。head&neckの経験でも、業務環境より設備にばかり目が行って、待遇改善を真剣に考えている方にお会いしたことはありませんでした。  個人的な意見としては、CTや診察室に1億もかけるくらいなら、その分を職員のボーナスに充てたほうが常勤職員や医師が来るのではと思います。もし「当院は、僻地医療に対する補助金が出た場合、まず職員の待遇改善に使います。不定期かもしれませんがボーナスとして支給いたします」という公示を出せば、今いる職員がやめてゆくことは無いでしょう。  お役人も、政治家も、モノでなく人に投資する発想の転換が必要だと思うのでした。

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