臨床の現場より

2008/01/19(土)01:23

手先の感覚

日々のこと(53)

 手術というのは手作業で、指先の感覚がかなり重要です。我々外科医が手術をするとき、摂子(ピンセット)や鉗子やはさみで組織を分けてゆくのですが、自然に微妙な力加減や角度を調整し、組織の種類にあった強さで道具を扱います。head&neckは釣りをしますが、自分で釣った魚を包丁でさばくときの感覚と似ています。もっと簡単なところでは、ただの注射針を自分の思った深さに持っていく技術に関して言うと、針先が血管を突き破って血管の内腔に入ったとか、いま皮膚からその下の層に入ったとかいう所はまさに感覚のみの世界です。  先日、腕のいい形成外科のK先生と、道具の先端の感覚はどれ位のものかという話をしました。 K先生「モスキートペアン(鉗子の名前)があれば、麻雀牌の漢字牌であれば盲牌は出来そうだね」 head&neck「うんうん、判る判る…。たぶんソウズとマンズも大丈夫ですね。」 K先生「ピンズは難しいかなあ。でも注射の針があればわかるかも」 head&neck「そうですね。あと、縫い物なんかはオペ用の針糸ならかなり上手に出来そうですよね」 K先生「うん。フォークとナイフで切ったステーキ肉くらいなら元通りには出来そう」 head&neck「ご飯粒なら摂子とメスで肉眼で16等分くらいは出来ますね」 K先生「顕微鏡使えばたぶん正方形のサイコロを作れるとおもうよ」 ・・・・  まあ、我々は特に手技が細かいのでこのような会話になりました。つくづくマニアの世界かもしれないと感じたのでした。。。。  ←参加しています。よろしければ一日一ポチを。  

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