私訳・源氏物語

2017/03/09(木)09:13

明石中宮 -6-

源氏物語の女性たち(247)

  あるしめやかな夕方、 明石の上は明石女御に、おじい様の明石入道のこと、 養母・紫の上の深い愛情など「いと多く、聞え給ふ」多くの事を お話申し上げます。 明石女御は、涙ぐみながら聞いていらっしゃいます。「『いとあはれ』とおぼえて、御額髪の、やうやう濡れゆく御そばめ、 あてになまめかし」たいそう痛ましいこととお思いになり、 御額髪が涙に濡れていく横顔は、上品でうつくしいのです。「かく、睦ましかるべき御前にも、常に打ち解けぬさまし給ひて、 わりなく物づゝみしたるさまなり」 実母として睦まじく、内輪のお話する時にさえも、明石の上は いつも打ち解けることをせず、 遠慮深いご様子を崩さないのでした。

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