大手銀行マン達の独立

 大手銀行マンで肩で風切っていた彼が独立した。
 辞めておけっていったんだけど。彼はあいさつ回りだのなんだの1000を超える会社数と5000枚は楽に越える名刺の束を持っていた。当然今までのボーナスを積んだ資金があったから会社も無借金経営だった。
 同じような人が3人集まって会社を作った。皆自信に満ちていた。。
 当時空前のパソコンブームだった。場所は秋葉原、台湾から部品を輸入して組み立てていった。初受注は直ぐにあった。一回り目は順調に受注が取れていた。

 問題もあった。
 あの教団が寝ずに働いて作った安いPCがじわじわと伸びてきた。最高学府(?と呼ばれている割には80%はたいしたこと無いが)にまで納入実績があった。そんなところともバッティングした。
 大企業に居た人は何故か肩書きに拘る。アルマーニの背広着て若造なのに副社長とか部長とか・・・名刺をもらう方は面白くは無い。

 営業の基本が見えていなかった。名刺と言う情報がいくらあっても物は売れない。学歴が高いからと言っても営業活動に意味があるように持っていくことが出来なかった。最初は銀行から来たと思って会ってしまった以上挨拶程度の取引はする。その後、可愛がってもらうにはどうすればよっかたのか
 この会社も、見に行ってやってくれよと頼まれたんだけど、説明を聞いているうちに細かいことは忘れたが無性にむかっ腹が立ったのだけは鮮明に覚えている。依頼者にはまだ若いなぁなんて笑っておられたが、今にして思うと何か出来たんだと思うけど。もう依頼者もこの世に居ない。
 私は何をしたかって?彼らには会社のオーナーに徹した方がいいでないか。とだけ言ったかな。

 家賃がそれなりにかかるはずなんで1年ぶりに行ったら会社は無かった。まだフィギュアショップも無かった頃だが。


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