ラインの黄金仮面 Weekly

　今日は私の所属しているアマチュアオペラサークル“ガレリア座”の次回公演『こうもり』の合唱練習に参加しました。

　実は私、ガレリア座の公演に出演するのも、そしてまともにひと舞台歌うのも約２年ぶりになります。この２年間は、糖尿病になるやら、突発性難聴になるやら、マイコプラズマ肺炎になるやら、Ｂ型肝炎になるやら、まさに病気との共存生活。入院生活も長かったせいもあり、ずっと歌えていなかったので、いやぁ、欲求不満が溜まった溜まった・・。

　これまで、私はこの劇団で何度かソリストとして舞台には立たせてもらいましたが、コーラスでは今回が２回目。この劇団での合唱は結構ハードなことを要求されます。その他大勢の一人ではなくて、一人の人格をもった役柄の演技を要求されますし、ここはオペレッタを比較的多く上演するので、ダンスシーンも多く要求されるのです。

　私はダンスは下手くそ。通称“田吾作”と言われるほど華麗でないのです。だから、そんなダンスシーンがあるとどうも一苦労なんですね。今回の『こうもり』はワルツ王Ｊ・シュトラウス２世作曲のものですので、当然、ワルツを踊らされるわけですが、今から冷や冷やものです。

　ソリストとはまた違った緊張感を強いられるコーラス。私は正直あまり得意ではないのですが、今回は、ソリストの方が、今まであまりソリストを経験してこなかった人を中心にしてやるということでしたので、私としては彼等を応援したかったし（煽りたかったし？？）、自分も２年間くすぶっていましたから、コーラスだろうと、不得意だろうと、踊りが下手だろうと、舞台に乗りたい！という思いが強く、参加することになりました。

　私、この『こうもり』というオペレッタにはやたらと縁があります。ガレリア座旗揚げ公演が、この『こうもり』で、私は看守フロッシュという芝居のみの役を演じました。その後、私の友人ら有志で２度ピアノ伴奏で『こうもり』を上演。指揮、演出、看守長フランク役（１度のみ）を担当しました。今回で４度目ですが、コーラスは初めて。しかも、今回の『こうもり』は通常版とは違って、シュトラウスよりもずっと後の作曲家コルンゴルドによる編曲版で上演することになりました。この盤は日本初演です。

　ですので、『こうもり』には大分精通しているぞっ！と少々タカをくくっていた私は自分の甘さにことごとく気づかされました・・。

　最初の１時間はエアロビクスも含めたストレッチとダンス練習。入院中寝てばかりいてすっかり筋力の落ちていた、病み上がりの私には、相当きつい運動でした。いやっ、やっていることは健常な方なら、それほど大変でもないのでしょうが、もう、ハードさの連続・・。こまめに水のみ休憩などを入れてくれるのですが、ひざはがくがく笑うし、ふくらはぎはびりびり痺れるし、太ももと足の付け根にはすでに筋肉痛が始まったし・・。自分自身の体の衰えに愕然としました・・。

　その後は合唱練習です。２年間出なかった間に知らない人がずいぶん増えていました。平均３０代の参加者が多かったのに、５０代、６０代の方も参加されるようになり、年齢層もちょっと豊かになった感じです。
　
　私は初心に帰って出直すつもりで（？）、さらったことの無いテナー２として参加することにしました。私はパートはバリトンですが、声種的にはハイバリトンですので、コーラスのバスだと、ちょっと低く感じるときがあるんです。またテノールの絶対数が少ないから、と頼まれたのもあいました。

　さぁ、実際に歌いだす・・。音をとる・・。

　私、まずここで一苦労・・。なかなかピンポイントで音が取れない・・。まぁ、でもさすがに４回もやっていれば音形も覚えているし、あまり違和感なく音とりをすることができました。

　が、混声で合わせると・・・

　うっ！！古巣バス・バリトン族の野太い歌声が・・・。

　懐かしい響きっ・・。ああっ、低い方へ流されてゆきたいっ・・、そんな欲求に心がフラフラと揺れ動かされると、たちまち、突拍子も無い歌を歌い始めてしまうっ・・。これではいけない！誘惑に打ち勝たねばっ！！そう思うと自然と声に力がこもる・・・。

　「テノール、うるさい・・。」

　指揮者からさりげなく注意が・・。「だってぇ・・大きな声で歌ってないと、音わからなくなっちゃうんだもん・・・」心の内なる叫びがこだまする・・。

　「こう、フランス風に軽ぅ～く、洒落て歌ってよ～っ♪」
　「君たちの歌は農耕民族の空気が漂ってるっ」

　いろいろ言われました・・。う～ん、もって生まれたこの田吾作的キャラクターを変えるのはなかなか至難の技。まぁ、残り時間はまだまだたくさんある・・。その間までにがんばってしあげなくっちゃ。（公演は来年５月）

　しかし、久しぶりに歌って踊って、大分ストレス発散にはなりました！やっぱり歌うっていいですね。気の知れた仲間と歌うのも、本当にいいものです。