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短歌 青春挽歌



長い間、しまっておいた引き出しから,

折にふれてひそかに書き溜めた短歌が見つかった。

ふたりの短歌の大先輩に見ていただき、おそるおそる掲載する次第。

  情念は 夜更けの沢音秋の川 ひらひら揺れて 汝れは散りゆく
         
  狂おしき 晩夏は風の変声期 草のしとねを 過ぎゆける雲

  夢果てて落下する花 谷あいに伏せる置き火の燃える骸よ
         
  ほしいまま うばわれて秋の日溜まりに 動かぬ花の透ける葉脈

  摘み散らす花の骸は 白い尾を曳く航跡に 泡立ちて消ゆ

  泣くは誰 けだるき真昼の丘に吹く風に揺れゐる ひなげしの花

はな

 
 青春挽歌  春愁編

鈴懸けの風の通り路歩みける汝が影遠き光芒の中

   注)鈴懸け=プラタナス

妻亡くて帰る巣のなき鳥に似て遠い海市の淡き影追う

  注) 海市=蜃気楼

思い出は太陽写真の陰影に映しだされる春愁の日々

瀬の音のかき消す吐息くぐもりて灯影かすかな闇の祝祭

夢覚めて夢は遠くの花影に四肢は空しく半跏思惟なる

風薫る風にさびしさあるゆえに形状記憶の翳りある午後

裸婦


青春挽歌  コーカサス編

 アゼルバイジャンから帰る機上で、バクーの思い出を短歌に。

 夢うつつで目覚めた時、隣の麗人より教えられ、めったに見れない

 不思議な光をシベリア上空で見た。

  点滅の機灯の先に光る帯オーロラという夢の連なり

  カーテンの揺るるがごとし刻々と光の帯は変幻自在


 3カ月のコーカサス滞在の思い出は・・・

  国造りいまだ途上の貧しさに水仙を売る老婆濡れゐる

  はちきれる四肢に前髪なびかせて踊る乙女ら血はコーカサス

  悲しみは腹の子の父去りてなほ踊る乙女に翳り見る時

  旅情とは石畳の路地迷い込み途方に暮れて星仰ぐ時

  時と言う優しき水脈に身を任せ流れ行くまま風は旅人


青春挽歌  心象風景編


  何処から河岸に寄りし海月の月の燐光揺らぎつつ消ゆ

  早吹きのさくらの花はつつましく散るや散らずや黄昏のなか

  束ねてもたばねてもいまだこぼれ散る小手毬のごとたわわなる君

  おぼろ夜に桜の蕊は色づきてしめやかにかつおごそかに散る

  浅き夢目覚めて水脈(みお)をたどりゆく潮に委ねる午後の曳航

  萌える野の遠き果てまで駆けゆける白き駿馬の心象風景


     絵は 「房総の春」
房総の春




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