水彩画紀行 スペイン巡礼路 ポルトガル 上海、蘇州   カスピ海沿岸からアンデスの国々まで

2005/01/28(金)06:28

雪を描く喜び、雪の誘う想い

カーテンを 開ければ小雪 舞へる朝 武蔵野に時折、小雪が舞う季節になった 雪が好き 猛然と吹雪いている中に立つと心が躍ってくる そんな歓びを歌ったのが次の句 舞ふ雪も 積むも消ゆるも 雪の中 浅田次郎の鉄道員を読んだ 雪の情景が美しい 一列車 遅らす別れ ぼたん雪 倉本聡が脚本を書いた名画「駅Station」も 雪の舞う駅に高倉健が降り立つとこから始まる 石狩挽歌の歌が流れる小さな居酒屋 倍賞千恵子がひとりぽつんと客を待っていた やがてふたりの間に激しい感情が吹雪のように舞い 非情な結末が待っている 最後に倍賞千恵子がつぶやくひとことに全てがこもっている 「そう言うことだったの」 誤解であったが、一言も釈明せずに男は黙して去る その時も吹雪が舞っていた。 あの二つの名作は、沖縄やハワイが舞台では生まれない。 なぜだろうか? 激しい雪の厳しさが、生きる厳しさ寂しさに重なるからか。 先々週、上越国際でスキーをした 夕暮れてゲレンデに点々と黄色い灯りが点った 一変して幻想的な世界が標高千メートルの山上に展開した 夢のような思いで山頂から一気に滑り降りた その時の感動がまだ残っていて、この週末も信州で滑る 再来週は蔵王の雪原へ。 雪を描く画家が多いのは圧倒的にロシア シベリアの美しい大地をよく描いている 光った雪の面と影の陰影がとても美しい 今、夢中でロシアの滞在した外人ジャーナリストの力作 「ロシア人」を読んでいる。 ロシア人は、「祖国」と言う言葉を聴くと 厳しい共産主義の圧制の後でも身震いするほどの歓びを感じると言う。 厳しい広大な自然のもつ美しさに魅せられた民族のゆえか? 日本に住んでいる人に「祖国」と言っても全く感情が湧かないのは何故だろうか。 明治以来の皇居周辺に棲息する官僚達が 国家や天皇の名を利用して、政財界の野心を満たすために 大陸の民を侵略し、多くの人を戦争に追いやり 数々の不正を行ってきた残存記憶が障害になっている。 天皇の名の下で好き勝手に命令を民に指示できた昔を取り戻そうと 今また国歌斉唱、国旗掲揚を勧め、天皇制の維持を必死に画策中。 その結果、世継ぎより海外で仕事したい自由になりたいと願う 民間から来た美しい花嫁の人権すら奪おうとしている。 そんな汚れきった霞ヶ関周辺にも美しい雪はわけへだてなく まるで無心な赤子のように優しく降り積もる 絵は「雪の丹沢尾根」

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