カラビナ特集クライミングにはカラビナが欠かせません。最近はいろんなカラビナが出てきたので整理してみました。【形状の違い】 カラビナは型状によって3種類に分けられます。 (1)D型 最もポピュラーな形状。他の型状と比べて強度が高い。 支点の岩側向き。 (2)茄子型(洋梨形とも言う) ロープの流れがいいので支点のロープ側向き。 半マストやATCを使ったビレイでも使いやすい。 (3)オーバル型(O型ともいう) 左右対称の形状。汎用的に使えるため消防や救助隊などで使われている。 【ゲートの違い】 ゲート形状によって下記の3種類があります。 (A)ノーマルゲート 汎用的なカラビナ。ストレートゲートとも言う。 (B)ベントゲート ロープをクリッピングしやすくするためゲートを凹ませてあるもの。 (C)ワイヤーゲート ベントゲートをさらに軽量化するためにゲートがワイヤーになっているもの。 【安全環の違い】 ノーマルゲートにはゲートが開かないようにロックする安全環つき(略して環付きとも言う)があります。 (a)スクリューロック ねじ式の安全環。ネジを回すことでロックとロック解除を行う。 (b)ボールロック オートロック式の安全環。ボタンを押して安全環を半回転させることでオープンする。 指を離すと自動的にロックされる。 (c)トライアクトロック オートロック式の安全環。 安全環を上へ引き上げてから半回転させるとロック解除される。 指を離すと自動的にロックされる。 【カラビナの使い分け】 トップロープや懸垂下降に使う支点には安全のため、必ず環付きを使います。 ノーマルゲートはセルフビレイ(自己確保)やクイックドローの壁側に使用します。 ベントゲートはロープをクリッピングしやすいようにゲートが凹ませてあるもので、主にクイックドローのロープ側に使われます。 ワイヤーゲートはベントゲートと同様にクイックドローのロープ側に使用するのがメインでしたが、いまでは信頼性が高いことが証明されたためノーマルゲートのかわりにも使われ、両側がワイヤーゲートのクイックドローも珍しくなくなってきました。 【カラビナの強度】 カラビナの強度はKN(キロニュートン)で表され、カラビナに刻印されています。 刻印されている強度は静荷重で破断してしまう強度のため、衝撃荷重などで値を超すと破断します。 1Kgは約9.81Nで、1Nは約0.102Kgなので、1KNは約1トンの重さまで耐えられることになります。 ほとんどのカラビナは最大強度が20KN以上に設計されているので、約20トンまでの衝撃荷重に耐えられることになります。 【カラビナの荷重方向での強度】 カラビナは荷重がかかる方向とゲートの状態によって強度が異なります。 ▼メジャーアクシス カラビナの強度が最大となる方向に荷重をかけること。 ほとんどのカラビナは縦方向の荷重になる。 ▼マイナーアクシス カラビナの強度が最小となる方向に荷重をかけること。 ほとんどのカラビナは横方向の荷重になる。 ▼オープンゲート ゲートが開いた状態で荷重をかけること。 荷重方向がメジャーアクシスでも、マイナーアクシスより強度が落ちる。 墜落時等の衝撃で一時的にゲートがオープンしてしまう、ウィプラッシュ現象の時の信頼性がわかる。 ▼3方向以上の荷重 カラビナに掛かる荷重が1直線ではなく、複数の方向から2直線以上に荷重が分散すること。 カラビナの間違った使い方なので強度の明示はされていない。 Black Diamond/ブラックダイヤモンド ポジトロン ストレート
ゲートにピンのないキーロックゲートを採用した軽量モデル。ボルトへのロープクリップ時や、ボルトハンガーから回収する時に引っかかりが無く、スムーズな操作が可能です。ストッパーなどのワイヤープロテクションのラッキング用としても便利。コストパフォーマンスも高く、スポーツ、トラッド両方のクライミングに適します。 ●重量/49g ●縦強度/25KN Black Diamond/ブラックダイヤモンド ポジトロン ベント ゲートにピンのないキーロックゲートを採用したベントゲートの軽量モデル。ボルトへのロープクリップ時や、ボルトハンガーから回収する時に引っかかりが無く、スムーズな操作が可能です。ストッパーなどのワイヤープロテクションのラッキング用としても便利。コストパフォーマンスも高く、スポーツ、トラッド両方のクライミングに適します。 ●重量/49g ●縦強度/25KN ●横強度/8KN ●ゲートオープン/8KN
Black Diamond/ブラックダイヤモンド ホットワイヤー 1997年にクライミング用としては初めて登場したワイヤーゲートカラビナ。ホットワイヤーは、 25mmもの広いゲートオープン間隔、45gという軽さ、優れたロープクリッピング性能、シンプルな構造、そして墜落の衝撃によりゲートが瞬間的に開くウィップラッシュ現象が起きにくいなど、従来のゲートに比べ多くのメリットがあります。大人気でよく売り切れています。 ●重量/45g ●縦強度/25KN ●横強度/7KN ●ゲートオープン/9KN
Black Diamond/ポジトロン・スクリューゲート ポジトロンストレートにスクリューゲートを搭載。キーロックノーズのためビレイポイントでの様々なロープワークで、ロープやスリングがノーズに引っかからず、スムーズかつスピーディーに操作できます。個人的にはこれがとても使いやすいです。 ●重量/56g ●縦強度/25KN ●横強度/8KN ●ゲートオープン/8KN
【クイックドロー】 クイックドローもポジトロンやワイヤーにすると使いやすいです。 両側がホットワイヤーのクイックドロー。 ランナーは新しくなった10mm×12cmのダイネックスドッグボーン。 ●サイズ/スリング/10mm×12cm ●重量/97g
茄子環、ツイストロックなどのカラビナ茄子環はD環よりロープの滑りがいいので、支点工作やATCなどのビレイでは必ず一つは必要です。 ブラックダイヤモンド ロックロック ツイストロック BD で最も大型のビレイ/ラッペル用ロッキングカラビナ。ゆったりとしたバスケットエリアを持ち、ゲートオープン間隔が広いためスムーズなロープ操作が可能で、ミュンターヒッチ(半マスト)にも対応。キーロックゲートの採用により、ロープ着脱時の引っかかりを防止。安全環は締め忘れのないツイストロック。 【平均重量】89g 【縦強度】24KN 【ゲートオープン】8KN
ペツル・M36SLウィリアムスクリューロック 開口幅の広い手動ロック式カラビナ。 ビレイや懸垂下降での使用に最適です。 キーロックシステム採用。 ● 重量: 90 g ● 開口: 24-25 mm ● 強度: 25-7-7 kN(縦・横・ゲートオープン)
ペツル ウィリアム トライアクトロック 開口幅が広く自動ロック式で素早い解除が可能なカラビナ ビレイや懸垂下降での使用に最適です。ただし、グローブを使う冬山には向きません。 ●サイズが大きく、数本のロープおよびスリングで支点をとることが可能 ●広い開口幅 ●ビレイに適した洋ナシ形 ●イタリアンヒッチ(ミュンターヒッチ、半マスト)に最適 ●キーロックシステム 【重量】90g 【開口】24mm 【強度】25-7-7 kN
カラビナは安くても千円近くするので、用途によって正しいカラビナを選びましょう。 |