ハーレーの新型ナイトスターについて語りたい。
ハーレーダビットソンの水冷モデルの新型である、ナイトスターが発表されました。スタイリングは従来のスポーツスターをかなり意識した感じです。エンジンはスポーツスターSの排気量のダウンバージョンです。当然ながら馬力等もダウンです。大型バイクデビューの方でも安心な、扱いやすさ重視と言ったところでしょうか。ハーレー入門編と言った位置づけなのでしょう。それでは項目別に見て行きたいと思います。(1)エンジンスペックエンジンはパンアメリカやスポーツスターSのエンジンの排気量ダウンバージョンです。排気量は975ccで馬力は89馬力です。正直に言ってかなり控え目なスペックです。ハーレー入門編と言う位置づけとしても、少し物足りない感じがします。ですが、これには理由がありそうです。理由に関しては、下のスタイリングの項目で書きます。(2)価格価格は1,888,700円からで、ブラック以外は1,919,500円です。ここ数年でメーカーを問わずに、大型バイクの値段は上がっています。それにしても高いです。ちなみにスポーツスターSは1,948,100円からです。ソフテイル スタンダードは1745ccで1,870,000円からです。ストリート ボブは1868ccで2,191,200円からです。うーん、本来ならば上位機種である、スポーツスターSやビックツイン系とほぼ同一価格帯です。何か値段のバランスが取れてない様な気がします。この値段ですと、私はビックツインを買いますね。今のところ水冷ハーレーに、そこまでの魅力は感じません。(3)スタイリングスタイリングはかなり、空冷である従来型のスポーツスターを意識しています。ダミータンク(本当のタンクはシート下)の形状や、フロント19インチとリア16インチのタイヤサイズ、リアの2本サス等です。馬鹿でかいラジエーターとエンジンにフィンがない事を除けば、従来型のスポーツスターとほぼ見分けがつきません。これは上手くまとめて来たなと言う感じです。純粋にカッコいいと思います。ですが、ここに少し問題があります。従来型のスポーツスターとタイヤサイズは同一です。そしてスポーツスターのこのサイズのタイヤは、速度レンジがHです。速度レンジとはそのタイヤが、何キロまで対応出来るのかを示したものです。つまりHレンジのタイヤでは、210キロ迄しか対応していません。従来型のスポーツスターならば、1200ccで最高速度はどんなに多く見積もっても180キロ程度です。まあ充分ですね。ところがスポーツスターSのエンジンは121馬力です。そしてスポーツスターSのタイヤはVレンジで240キロ迄対応です。馬力イコール最高速ではありませんが、スポーツスターSのエンジンをそのまま積んだら明らかに、エンジンスペックがタイヤのスペックをオーバーしてしまいます。価格を見ても分かる様に、排気量を落としたところでコスト的には変わらない様です。要するに空冷スポーツスターのスタイリングは欲しい、だけど対応するタイヤがない、だからエンジンスペックを落としたのでは無いかと思います。もちろん専用タイヤと言う選択肢もあったとは思いますが、コスト増になりますし、只でさえハーレータイヤはハーレー専用の物がほとんどです。同じサイズで速度レンジの違うものを出すのは、タイヤメーカーも了解しないでしょう。それに現在市場に豊富にある多種多様なデザインのタイヤが使えないのならば、わざわざ同じサイズにした意味もなくなりますからね。(4)まとめ従来のハーレー像とは違いますが、水冷化が避けられない以上は上手くまとめて来ていると思います。デザイン的には今までのハーレーユーザーにも受け入れられると思います。普通にカッコいいです。ですが本来150馬力以上出せるエンジンを、事情があるとは言え89馬力で出すのはどうかと思います。基本的に1つのエンジンで、まかないたいと言うのは分かるんですけどね。結果としてエントリーモデルと言える価格帯の物が無くなってしまった訳ですからね。何か水冷エンジンに対しては、早くも行き当たりばったり的なものを感じてしまいます。追記と訂正です。Vレンジのタイヤが無いと言うのは誤りでした。数種類は存在しています。訂正してお詫びいたします。ただハーレーのロゴ入りの純正タイヤには無い様です。Hレンジの純正タイヤがあるのに、Vレンジの同サイズの純正タイヤを作成して、この先も供給し続けるのは現実的ではありません。タイヤだけの問題で89馬力と言うのは少し強引な考察でしたが、全く無関係ではないと私は思います。仮に純正タイヤは作れば良いとしても、純正以外に数種類しかタイヤの選択肢が無いのは問題と言えるでしょう。ナイトスターがよほどの大ヒットにでもならない限りは、タイヤメーカーも追加でVレンジのタイヤは出さないと思います。と言うよりこの先もスポーツスターサイズのタイヤを作ってもらう為に、ナイトスターを出したのかも知れません。