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ある日ぼくがいた場所

繰り返されない風景

繰り返されない風景


今朝のバス
いつもとは反対側の座席に座ってみた
歩道に近い方だけあって
歩道を行き交う人々の表情や
路傍の木々の緑と空の青のコントラストが
いつもより眩しく見えた

いつもと同じ時間のバスに乗っても
いつもと全く同じ人々が乗り込んでくる訳ではなく
満員電車で肩触れ合う人々の組み合わせはたぶん無限の日替わりメニュー
窓の外の風景が流れる速度も
乗り降りが混雑する駅の手前で電車が減速する回数も
全く予想不能

スーツの上着を持って出ようか迷った朝
ぼくはバスの中でいつもとは反対側の座席に座り
そのバスはいつもより多目に赤信号にぶつかり
東西線上り電車はいつもよりのろのろと進み
日本橋駅の銀座線乗り換えのホームで会えるかも知れなかった
君はそこにはいなかった

品川駅で京急線下り各駅停車に乗り換えた時
ぼくは君かと見える人の前の吊革につかまった

昨日もぼくは君の前に立ったけど
昨日までとは違う経緯が有った

別にぼくは君の事をまだ好きとか思ってはいないけど
気にはなっている
いつか声をかけるかも知れないけど、今は分からない

品川から二つ先
二人が降りる新馬場駅手前で君は顔を上げ
やっぱり君だった事をぼくは確認した
これまでにもあったように君とぼくは視線を交わし
電車が止まってぼくらは同じ戸口から出たけど
ばらばらにホームからの階段を降り
改札を出てからそれぞれの職場へと向かった

毎日同じ家から出て
毎日同じ職場に着くまでの
繰り返しの筈だけど
二度と繰り返されない風景
そんな風景の合間に
ぼくの一日は始まる


2004/7/2


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