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カテゴリ:日記のようなもの
道。
それはどこかへ行くために作られた何か、 つまり本来の目的の場所に至るための途中にある何かに過ぎない。 そんな何気ない筈の道 だけの写真集に出会い 手に取り 惹かれ 迷わず買った。 どこまでも続く道。 Anywhere you want to go. そんな題名が付けられた一冊。 世界の様々な場所で 作者が 立ち止まり 息を呑み 最高の一刻の訪れを待ちながら 一枚ずつ撮っていったのだろう。 息付いているのだ。 何でも無い田舎道が赤い照り返しを受けて怪しく輝いていたり、 ひっそりとした廃屋の中を通りまたどこかへと続いていくように見える道や、 まるで指輪物語に出てきそうな高い木立に挟まれ足を踏み入れればその緑色に埋まりそうな、 そんな道の数々が。 ハイビジョンや3DCGといった技術の進歩を嘲笑するように、 光景を純粋に切り取っただけの静止した一瞬が 何故か心に残る。 心の中の何かに響いてくる。 ただ、道が写されているだけなのに。 この本の作者のあとがきを最期にご紹介しておきます。 どこかの書店で見かけたら、是非、手にとってぱらぱらとめくってみて下さい。 それだけで、彼の感じた道の息吹が、あなたにも語りかけてくるだろうから・・・。 『人生においてしばしば、自分に問うべき地点に出くわす。 次はどちらに行こうか、と。この地点を人は『岐路』と呼ぶ。 この私たちの選択を最もうまく象徴してくれるのは、本物の道である。 私はつねに変化を好む。 いろいろな場所に行ったり、人々に出会ったり、新しい国を見たりしたい、 そのようなところに私を導いてくれるのは、道である。 現代の道は複雑で、あまり魅力的ではない。 私たちはよく飛行機や渋滞したフリーウェイ、高速の鉄道や暗い地下鉄を使って 目的地へ行こうとする。だが、私を惹きつけてやまないのは、 好きなときに立ち止まり、思い切り深呼吸し、 そこにある風景や雰囲気を楽しむことができる、 なんの変哲もない、ただの道だけである。 私がもっとも好きな道は、目的地はさほど重要ではなくて、 ただ路上にいることが最もエキサイティングだと思えるような道、 次の曲がり角を過ぎればうれしい驚きが待っているような、そんな道だ。 ゆっくり行くという贅沢を覚えると、私たちはまもなく、 道とはこちらからあちらへの単なる移動手段ではないと気づく。 それどころか、道は、私たちの内にあらゆる感情を呼び覚ます。 期待、希望とともに寂しさや孤独。 また、生きることの喜び、過去のさまざまな思い出、すばらしい思い。 私は、ゆっくり行くという贅沢をゆるしてくれる、 変哲のない田舎の道たちにこの本を捧げたい』 (『どこまでも続く道』、著者:ベルンハルト M.シュミッド、ピエ・ブックス) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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