ある日ぼくがいた場所

2007/04/07(土)10:03

『責任者を呼べ!』の無責任さ

お仕事(19)

外資系に勤める事が多かったせいかも知れませんが、まぁちょいと聞いて下さいな。 契約、って言葉ありますよね? 製品やサービスを購入する際の。 ネットワーク製品とかだと、保証期間1年とか、有償で電話サポート1年とか、そんな感じですかね。 でね、その契約の中に、ネットワーク製品が不具合を起こした時に、『責任者が現地に行って客先に謝る』なんてもんが含まれてる物は、おそらく有り得ません。 そういう契約は、ネットワークの保守とかを任されてる会社とかが客先と個別に結ぶような契約です。あってとしてもね。 メーカーが個別の客先やら代理店やらと結ぶ契約では、製品が故障と判断したら、機械を交換します、ってくらいです。その故障判断も、メーカー側が行います。基本的にね。 単純に、想像してみて下さい。 Windowsの不具合があって会社の全部のPCが使えなくなってしまったなんて事態があったとしても、ビル・ゲイツやマイクロソフトの社員が謝りに行ったりするでしょうか? 有り得ません。 アンチウィルスソフトの不具合とかでウィルスが全社に広まってしまった場合は?(まぁこれもほぼ有り得ないんですが例として) 有り得ません。 そういった契約を、購入する客と提供するメーカー側が双方が合意して結んでいない限り。 その視点を欠いている日本の企業が多すぎるように感じています。 ネットワークがダウンしたんだから、その時間分の被害額を賠償しろとか。 そんなの契約条項に含まれてましたか? されてませんよね? 『いやでも常識的に・・・!』と仰る方。 それは"あなたの"常識であって、世の中や世界の常識ではありません。 てな感じの方々が、本当に、多すぎます。 理屈でなく、感情論で動いてます。 詳しくない人ほど、コンピューターとかネットワークとかは、全て0と1、原因と結果が何でもかんでも明確に把握できる、と思ってらっしゃる節があります。 同じ環境、同じ機器、同じOS、同じ操作でも、違う結果が生まれる事があるのです。 サーバーとかネットワーク機器を再起動したら直ったけど、いくらログとか見ても原因わからなかったことなんて、ザラです。良くあることの一つに過ぎません。 そんなの嫌だ!、と言い張る人は、ぜひ紙とえんぴつの世界に戻って下さい。 世の中には、銀行のATMなど、非常に厳しいレベルで動いているものがある事も確かです。 けれども、壊れない機械なんてありませんし、『壊れないことを保証しろ!』なんて言われても、それは出来ないことを要求している"我侭"にすぎません。プログラムやOS、ネットワーク機器にしろ、そこら辺は何も変わりません。 永久保証なんて言葉があったら、その大半は"詐欺"でしょう。 良く考えてみて下さい。 その製品なりサービスなりを提供している会社が永久に存続できるなんて保証、世界中の誰にできるのでしょうか? そんなのは下手な宗教くらいに任せて、ビジネスはそういった曖昧さから離れて現実に目を向けなければいけません。 未知のウィルスが発見されても、12時間以内にワクチンを開発して配布します!、なんて契約してるアンチウィルスソフトのメーカーもいないと思います。 だって、"未知"なんですよ・・・?新種のウィルスへのワクチンが、同業他社よりも早く提供できれば、それは営業的なアピールにはなるでしょうが、それが限界です。 それをService Level Agreement(SLA)に含めるのは自殺行為に過ぎません。 次のウィルスが発見された時に同様に時間内で開発できるかどうかなんて、誰にも分からないのですから。(自作自演でも無い限りね) 契約社会の在り方云々については、義務教育期間の間にも、子供達に教えておく必要があると思います。 約束した以上の事をしてあげようとする姿勢は善意に満ちて美しいかも知れない。 けれども、それは組織そのものを危うくし、企業の営業そのものを殺しかねないのですから。 とりあえず、保守期間切れてるのにサポートしろ!、てないちゃもんを付ける輩が減る事を望んで止みません。 ラーメン屋で注文した料理にゴキブリが入ってたとか言うなら、店員さんなり店長なりに怒鳴りつけるかも知れませんが、企業対企業なんですから。 日本の社会は、もうちょっと"買う側の責任"というものを自覚する必要があるんじゃないかと最近感じてます。 ネットワーク機器とかに限らず、株とかの金融商品でも、買う事を選択したのは、買った側なんですから。 勝手な期待が裏切られたからといって逆上するのは、おもちゃが買ってもらえなくてだだこねる子供と同じです。

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