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カテゴリ:書き物的なモノ
夏休みも残り少なくなってきた今日この頃、宿題に追われている小中高生の皆様いかがお過ごしでしょうか?
恒例になってるわけでもないけど、今年は漫画『ONE PIECE』を題材にしてみました。まだ終わってない話だけれど、全体像はつかめているかと思います。 一応、原稿用紙三枚半ほどのサイズに収めてあります。 ========== 漫画『ONE PIECE』を読んで 名無之直人 現在一番人気のある少年漫画であり、私の大好きな漫画の一つでもある。その理由をいくつか書き留めておこうと思う。 週刊少年ジャンプで連載しているのだが、大人が子供に伝えるべき言葉を物語を通じてきちんと伝えている所が気に入っているのだと思う。 例えば、つい最近まで続いていた戦争のシーンの中では、こんな台詞があった。 『正義は勝つって?そりゃあそうだろ。勝者だけが正義だ!』 戦争を知らないガキ共と平和を知らないガキ共との価値観は違うとも前置きされていたが、言うまでもなくこれは少年誌に連載されている少年漫画である。ちなみに友情・努力・勝利というテンプレートもこの漫画には当てはまらない。何巻も費やして辿りついた兄の救出劇は失敗に終わり、兄は主人公の目の前で殺されて終わった。 主人公が人格者かと言えば、道徳の時間で取り上げられるような人物としては描かれてはいないだろう。 例えば航海士のナミを仲間にする一連の話の中で、彼女の過去がその姉から語られようとした時、主人公ルフィは話を聞かずに立ち去る。彼女の過去に興味は無いと言って。 その後の場面でルフィはナミを助けるのだけれど、その理由は単純。彼女が自分の仲間だから助けた。自分が助けたいから助ける。 歴史学者でもあるロビンという人物を助けるストーリーの中でも名場面があった。死を望む彼女にルフィは言う。 とにかく助けるから。死にたければ、助けられてから死ね、と。死ぬとか何て言っても構わないけれど、そういう事はおれ達のそばで言え、と。 命の大切さを滔々と語りかけたり、ヤケになってはいけないなどとは言わない。例え世界中の誰もが、彼や彼女の生存を望んでいなかったとしても、おれはお前の生存を望んでいる。そんな存在の肯定が、この漫画の骨子である。 船大工フランキーの過去の回想シーンの中で、親方のトムが言う。 『どんな船でも、作り出す事に善も悪も無ぇもんだ。この先お前がどんな船を造ろうと構わねぇ。だが、生み出した船が誰を傷つけようとも!世界を滅ぼそうとも!生みの親だけはそいつを愛さなくちゃならねぇ。生みだした者がそいつを否定しちゃならねぇ。船を責めるな。造った船に男はドンと胸を張れ!』 親と子の関係に悩む十代にとって、特に自分は望まれずに生まれてきたかも知れないと悩んでいるかも知れない少年少女にとって、又は望んでいなかったかも知れない子供と向き合わなくてはならない若い親にとって、何とストレートなメッセージだろうか。 先の戦争でルフィが助けようとした義兄のエースも、世の混沌を生み出した海賊王の子という十字架を背負い悩んでいた。自分は生まれてきても良かったのだろうかと。そんな彼の最期の台詞は、自分を愛してくれた主人公や仲間達への感謝の言葉だった。 あなたは生きていていいんだよ。 私は、あなたに生きていて欲しいんだよ。 そんなメッセージが語りかけられているからこそ、この物語は人々に広く読まれ愛されているのだと思う。 ========= 文中には入れなかったけど、こんな台詞もありましたね。 『よく聞け、ロビン。今は一人だけどもよ、いつか必ず"仲間"に会えるでよ!海は広いんだで、いつか必ず!お前を守ってくれる"仲間"が顕れる!この世に生れて一人ぼっちなんて事は絶対にないんだで!』 (44巻、サウロからロビンへの言葉) 感想文の末尾に付け加えるのも有りですが、この言葉を"ウソ"を感じさせずに使うのはむずかしいかなと思い、私は入れませんでした。本当に孤独を感じたまま死んでいく人は、珍しくないと思いますので・・・。 この漫画、まだ読んでない方がいれば、漫画喫茶で何回かに分けて読まれるのがいいかと思います。一気読みは、現在までで59巻あるので、たぶんきついかと。 ではまた。 おまけ ・『こころ』(著:夏目漱石)を読んで ・『タウンページを読んで』(小市民伯爵さん) この『タウンページを読んで』は超傑作です。そのバリエーションで中国地図帳を読んでとかやろうかとも思ったのですが、二次制作的になってしまうので止めました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.08.26 01:41:10
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