ある日ぼくがいた場所

2011/03/18(金)06:27

足し算引き算も出来ずに原子力発電をしていた私達

日記のようなもの(782)

自戒を込めて。 一連の原子力発電所の騒ぎで、どれだけ私達が考えてなかったのか、書いてみます。 1足す1は、2。 1引く1は、0。 同様に、 原子炉で火災が起きてますが、放射線量が高くて近づけません。 地元の消防署に鎮火を依頼しました。 だけど彼らはそんな緊急事態に対応できる装備なんてありません。 機動隊の放水車を持ってきてみました。 やっぱり彼らは十分に近付けず、放水を行ったものの目標には届きませんでした。 空からヘリで水を撒いてみました。 約30トンくらいのうち、効果は焼け石に水ですが、空になってるかもしれないお隣のプールは、1200トンです。自衛隊員とかに犠牲を強いてどうにかするにしてもひどすぎるレベルです。 想定されていた以上の事態が起きた? いいえ。2004年に、専門家集団でもない共産党福島県議団に指摘されて無視していたレベルです。 『福島原発はチリ級津波が発生した際には機器冷却海水の取水が出来なくなることが、すでに明らかになっている。これは原子炉が停止されても炉心に蓄積された核分裂生成物質による崩壊熱を除去する必要があり、この機器冷却系が働かなければ、最悪の場合、冷却材喪失による苛酷事故に至る危険がある。そのため私たちは、その対策を講じるように求めてきたが、東電はこれを拒否してきた。』 うん、まさに、今回起きてる事態ですね。(共産党は、地味に、共産主義とは全然関係の無い処で、いい仕事をしてたりします。) 専門外の、装備もない地元の消防団に、原子炉の消火を依頼している時点で、根本的な何かがおかしいとは感じませんか? 放射線量が高い処に、射程の短い放水車を持ってきて、で? 人員を無駄に危険に晒し、かつ人々の耳目を集めさせておくという時間稼ぎ以外に、何か役に立ちましたか? 自衛隊の特殊な消防車で、車内から放水して、最初からそれで良かったじゃないですか。それを一日に、時間を空けて、複数回行っていた方が良かったんじゃないですか? 東京電力の対応がまずかった点とか、政治家がどうとか言う前に、私達日本人全体が、そんなあやふやな体制を元に日常を送っていたという事そのものに、戦慄しました。 おいおいおい、マジかよ、オレ?、て感じです。 日常の電力の一定割合を原子力に頼っている社会なのに、その災害時に専門に対応する消防車すら1台も持たないでいたなんて、それで安穏と生活していた事実に対して驚愕しました。 装備だけでなく、体制も知れば知る程に、その無考慮さが信じられませんでした。各原子力発電所に設けられてる電力供給手段が全て断たれてすぐには復旧できない場合の、人任せ運任せな状態に唖然としました。 これはもう、現地で残って文字通り、命や人生かけて奮闘している方々を英雄と立て奉ればすむような、すまされるような話ではありませんし、そうすべきでもありません。 そんなもので放射線による後遺症が治るわけもないのですから。 海外の友人とやり取りしてると、感じている危機感が全く違うのが伝わってきます。東京で停電がーとか、電車がーとか文句垂れてるのは、私達が冷静なせいなのかも知れませんけれども、意図的に危機から目をそらす事で精神の平衡を保っているのもあるでしょう。 今日一日、自衛隊のヘリで水を散布するだのしないのだの、機動隊の放水車で放水が昼頃から云々とか、根本的な事態が何か変わったかと言われれば、何も変わっていません。 そして、4号機については、意図的に、報道は避けられてきました。 これから考えます。考えてるところです。 せいぜい、そのくらいです。 5号機、6号機とかも対処しなくちゃいけないと存在が浮上してきてますし、1号機も2号機も完全に安定したという状態ではありません。ヘリで1、2回とか、一日合計100トン未満の放水しかできない状態で、早急に1000トン以上給水しなくてはいけないものを、ヘリで上空100メートル以内にすら留まれないものを、果たしてどうするつもりなのか? それを私達は、目先をそらす放水作業で、24時間以上、無駄にしたのです。 世界中からの援助隊が付近にまだ活動しているというのに。 彼らに退避勧告も自主的に出していないというのに。 目先の食糧やガソリンや生活物資を買い占めるくらいにしか脳が働いていません。せいぜいそれらを止めましょうと呼びかけるくらいにしか。 はっきり言って、原子力発電所の管理は、国内問題に留まりません。 だからこそ、アメリカもロシアも韓国その他の国々も、真剣に援助を申し出てくれているのです。 だからこそ、その援助を申し出てくれてる国々は、自国民に日本から脱出するか、数百km以上彼方まで遠ざかるように勧告し始めているのです。 私達は、自問する必要があります。 私達は、本当に冷静なのか。 それとも単に、現状から目をそらして冷静を装っているだけなのか。 チェルノブイリとは同じ現象にはならないとは私も聞いています。 しかし最悪の事態が起きた時、少なくともそれは付近数十km以上の範囲で深刻な事態をもたらします。 私は、東京から離れるつもりはありません。そうする必要が無いという客観的(らしい)情報に触れているからです。 ・torii_h氏による英大使館会見邦訳まとめ。 政府と東京電力に求められているのは、何よりも、最悪の事態を想定した上で必要な行動を起こしていく事です。 マスコミに全ての情報を流す事は絶対条件ではありません。社会秩序の維持という名目は確かに重要ですから。しかし同時に、必要な行動だけを、最小限の人的被害とリスクの元で、最大限の速度で行う事は、絶対条件です。 見せかけで実効の無い行動で時間を無駄にする事は、最大の禁忌でもあります。 私達は、おそらく、今回の福島の原発が最悪の事態を迎えようと迎えまいと、その事態を乗り越えて、生活を営んでいくでしょう。 海外へ避難した人達が帰って来るかどうかは、さして気にする必要は無いか、優先順位は低くて良いでしょう。 何より大切なのは、自分達が見落としていたか、意図的に目をそらしていた対象に目を向けて、必要な考察をして、必要な対策を講じる事。 東京電力という会社は社会的生命を終えるか看板の掛け替えを迫られるかするかも知れませんが、それは問題の根本的解決とは何の本質的関係がありません。 一つの私企業に、原子力発電所という危険極まりないものの運用を任せ切ってもいけないでしょうし、少なくとも既存の仕組みが、今回の様な事態に非常に不十分な存在であった事は確かになった訳ですから、私達が生活に必要な電気というエネルギーをどうやって生み出していくのか、その媒体を何からどう得て、運用をどう管理していくのか、正面から考えていく必要があります。 それはもう、CO2排出量がどうとかいう超馬鹿げた理由で原発の建設を推進するなんて間抜けな議論を廃絶して、自分達の生命と安全に直結する深刻な問題として、向き合っていこうではありませんか?現状で太陽光や風水力発電に頼りきれない事も明白ですから、原子力に一定程度頼らざるを得ないのであれば尚更です。 被災地で無い処で、計画停電による信号の消灯が原因で事故死する人も出ているのです。 夜から大規模に停電するかも!?という報道で、慌てて駅に向かって長時間電気の途絶えた満員電車に閉じ込められたり、それを避ける為に歩いて帰る途中で信号の消えた交差点で車に突っ込まれたり、そんな目に遭う前に、私達には、たぶん、出来る事がある筈です。

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