ある日ぼくがいた場所

2011/10/20(木)23:27

これから日本の大学が意識すべき事柄について:週刊東洋経済『本当に強い大学』特集を読んで

Twitterの方にも書いた事をまとめて、考察を付け加えておきます。 まず、週刊東洋経済『本当に強い大学』特集からいくつかの数字を並べておきます。 東大80.4%、京大83.1%、慶応82.1%、早稲田75.5%、近畿大74.3%、東北大65.7%、東工大71.1%。それぞれ卒業生から大学院進学者を除いた就職決定者数の比率。ランキング全体で言うと75~85近辺が多く、90代は非常に少ない。 もう一つ目に付いたのが、志願倍率の低下。有名所でも2~3倍代なんてのがざら。多いのは3~5倍で、極例外で6~9倍くらい。そして今後。この倍率は絶対に落ちていきます。東大が秋季入学を検討し始めた、国内学生だけでは質(競争)の維持が不可能と判断したという理由が明確な数字で伝わってきました。 そして後日目にした記事2本がこちら。 ・難関突破も需要伴わず 会計士1500人が就職浪人 ・司法修習生も就職難 「未定」35%に上る 会計士や弁護士という具体的な資格を取っていてさえ就職の不安が払拭されないのであれば、その資格を取る為の学校や授業の価値も、低下せざるを得ません。 さらに秋季入学を検討し始めた東大や、今回の特集を組んだ東洋経済を含めて見落としている点があります。 それは、なぜ、海外の優秀な学生、又は彼らと渡り合える国内の優秀な学生が、日本の大学を選ばなくてはいけないのか、という根本的な問いかけです。 日本の優秀な大学を出れば、日本での就職に有利だから、という答えが当然の如く返ってくるかも知れません。 でも、忘れてませんか? 日本の市場は今後縮小し続け、上場企業どころか中小企業でさえ、海外での売上比率が高まっていくという背景が変わらない限り、日本の大学に通う必要性はそもそも無い筈なのです。 当たり前ですよね? 特に外国人の場合、ビジネスが展開される現地語と英語が出来れば、そもそも十分な筈なのですから。 なぜ彼らが、わざわざ大学教育を受ける為だけに、日本語という一つの言語をまるまる習得しなくてはいけないのでしょうか? それだけの価値が日本の大学に存在しますか? どの大学がそれだけの価値を世界に対して証明できますか? 例え東大や京大でさえ難しいでしょう。というか不可能です。 中国で展開されるビジネスの為に雇われるなら中国の最高学府を、インドで展開されるならインドの、といった具合に、日本の大学に通う必要性は無いんじゃないのか?、という現実に、日本の大学教育者は向き合わなくてはいけません。 本社機能でさえ移転しつつある現在ですよ? 移転してなくても社内公用語が英語になっていたり、日本語ができない外人達が日本本社にごろごろいたりするのがめずらしくない光景にある現在が、今後日本語重視の方向に転換する事は、有り得ません。 だから、(教育機関にとっての)答えは、日本の大学が海外にキャンパス展開する事でしょう。もちろん、単位の相互認証などの問題は残りますが、東大香港キャンパスとか、東工大ムンバイキャンパスとか、そういった類です。 日本と現地国の大学卒業資格を同時に取得できて、なおかつ現地語と英語と日本語を同時にマスターできる環境を整備する事。 日本は海外に比べれば失業率は低いです。特に若年層はとても低めと言えます。海外の優秀な学生を惹きつけられるとすれば、海外展開に主軸を移しつつある日本企業が、彼らに日本語を押しつける事なく囲い込む事でしょう。 そして大学や企業だけに全てを押しつけられるわけもありません。小中高の生徒も先生も、現在社会で既に働いている人々も全て、これらのプロセスに否応無しに参加する事を強要されるでしょう。 雇用を失って職探ししているのなら尚更です。 これから学校に通うだろうお子さんを持つ親御さん達は、日本で最高レベルの大学に通って資格を取っても不安が残るという現在の認識に捉われないで下さい。これからもっと悪化しますから。 社会としては雇用制度をもっと柔軟にして、雇用と非雇用(失業)という0か1かという二元論ではなくて、正規雇用か非正規雇用かでもなく、企業がどうやって収益を得て、政府がどうやって社会補償の原資を得て配分しているのか、その仕組みをもっと広く理解した上で見直していく必要があります。 話が際限無く広がりそうなので、この記事はここまで。 ではでは。

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